「アクティオ・ワイルドカード」で出場した森/越智組が得たもの

「アクティオ・ワイルドカード」で出場した
森/越智組が得たもの

10月2日、3日、「マイナビ ジャパンビーチバレーボールツアー2021 第6戦 松山大会」が愛媛県松山市・風早長浜海岸で開催された。
 
この大会には、若手選手の育成をバックアップするために生まれた「アクティオ・ワイルドカード」が導入され、地元期待の大学生プレーヤー、森優樹/越智勇斗(松山大)組が出場した。
 
森/越智組は現在、大学2年生。2人ともに本格的にビーチバレーボールを始めたのは大学1年の頃だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大会への出場は断念せざるをえなかった。しかし、奇しくも森と越智がビーチバレーボールを始めたのは、コロナ禍によって大学が休校になったのがきっかけだった。「授業がなく部活もなくて、やることがありませんでした。そんななかで、『ビーチバレーは練習できる』という情報が入ってきてやってみようと思いました」と越智は話す。
 
それから1年後、森と越智は今年7月に開催された大学選手権に初出場を果たした。初めての全国の舞台では経験豊富な慶應義塾大に1回戦であたり敗退。「あのとき、自分たちはビーチバレーができなかった。試合慣れもしていないし相手に流れを持って行かれ、思うような攻撃ができなかった。悔しかった……」と森は振り返った。
 

身長179cmの越智
大学選手権後、バレーボール部で2年生ながらレギュラーを務める森と越智は、ふたたび体育館へ戻った。しかし、地元の松山で開催される「マイナビジャパンツアー第6戦松山大会」で導入される「アクティオ・ワイルドカード」の話が舞い込んだのだ。
 
「大学生の自分たちがトップの大会に出場できるのは光栄だし、ワイルドカードでの出場の話を聞いたときは本当にうれしかった。バレー部の練習もあったので、そこで練習時間を調整してビーチで詰めて練習してきました。夏休みを利用していろんな方々に練習やゲームをしてもらい、手伝ってもらったことはありがたかったです」と森は感謝の意を述べた。
 

強打を中心に仕掛けていった森
大会第1日目の4試合目。ついに森/越智組の挑戦の幕が開けた。相手はトップチームの一角であるプロチームの清水啓輔(有限会社N&N corporation /中部土木株式会社)/村上斉(株式会社ADI.G)組だった。
「逃げずに攻めていこうと思っていた」と話していた森は、ファーストポイントを鋭いジャンプサーブで奪い、試合が進むにつれて持ち前のジャンプ力を活かした力強いスパイクをコートにたたきつけていった。
越智は、パス、つなぎの技術力の高さを披露。サーブレシーブが乱れた状態でもすかさずボールの下に入り、オーバーハンドセットでボールを森へとつないだ。試合中、反則をとられたこともあったが、それでもオーバーハンドセットを上げ続けた。
 
結果は0-2(17-21,14-21)のストレート負けだが、森/越智組は劣勢に追い込まれても攻めの姿勢を崩さなかった。対戦相手の村上はその印象をこう話す。
「試合中、ブロックを跳ぶにあたり、立ち位置だったり、開け閉めだったり仕掛けていく中で、ブロックがよく見えているなという印象を持ちました。森/越智組はボールをしっかり叩けていたので、それをずっと続けていってほしいです。ショットを覚えてそれが決まるようになると強打を重視しなくてもいいと思ってしまうこともある。森/越智組にはそういう枠に収まらない選手になってほしいですね」
 
試合後の記者会見。越智が「自分の可能性を感じることができた試合だった」と言えば、森も「自分たちはまだビーチバレーを始めて間もないけど、自信を持てた。これからのバレー人生につなげていきたい」と言葉に力を込めた。「アクティオ・ワイルドカード」で得たこの経験は、若き精鋭たちにとって大きな財産となるだろう。

来年の大学選手権では成長した姿が見られるか