「アクティオ・ワイルドカード」で出場した松本恋/松本穏組の戦い

「アクティオ・ワイルドカード」で出場した
松本恋/松本穏組の戦い

9月18日から20日、「マイナビ ジャパンビーチバレーボールツアー2021 第5戦 都城大会 第22回ビーチバレー霧島酒造オープン」が宮崎県都城市・焼酎の里霧島酒造ファクトリーガーデンで開催された。
 
この大会には、若手選手の育成をバックアップするために生まれた「アクティオ・ワイルドカード」が導入され、女子の松本恋/松本穏(ともにMt.dogs)組が出場した。
 
松本恋/松本穏組は姉の恋が23歳、妹の穏が21歳の姉妹ペア。愛知県の誠信高卒業後、ビーチバレーボールへ転向した。前回の第4戦名古屋大会でマイナビジャパンツアー初出場を果たした期待の新鋭チームである。
 

注目の姉妹ペアが第5戦都城大会に参戦
前回大会は8チームのシングルトーナメントだったが、第5戦都城大会では3チームによる予選プール戦2試合を行い、上位2チームが準々決勝へ進出するというレギュレーションだった。試合数も増えるため、いわば今大会は本来の実力が試されることになる。
 
松本恋/松本穏組は、初戦となったプール戦で第10シードの酒井春海(株式会社甲斐組)/本村嘉菜(アイビークリーン株式会社/SANDBLOCK/KLB)組に2-0(21-14,21-7)で勝利した。次の溝江明香(トヨタ自動車)/藤井桜子(フリー)組には0-2(19-21,18-21)で敗れたが1勝1敗、プール戦2位でトーナメントへ駒を進めた。
 
1回戦の相手は、東京オリンピックに出場した村上めぐみ(株式会社オーイング)とオト恵美里(産業能率大学)のチームだった。「前衛は恋、オトさんともにパワーがある選手で、チームのタイプが似ている。村上さんは異次元の選手で本当にうまくてすごいなと思った。レシーバーの私が勝てなくても、姉が前でがんばってくれることを信じていた」と穏は振り返る。
フルセットにもつれた戦いは最後までどちらが勝つかわからない展開となったが、「終盤なんとか我慢できた。姉のプレーが輝いていたのが勝因」(穏)と松本恋/松本穏組が2-1(21-16,19-21,15-10)で村上/オト組を振り切った。
 

姉の恋はパワフルなスパイクが持ち味
準決勝の相手は、前回の名古屋大会準決勝で敗れた長谷川暁子(NTTコムウェア)/坂口由里香(大樹グループ)組だった。
ともに日本代表経験のある選手がペアを組み、第2戦で優勝、第4戦で準優勝している強豪である。接戦が予想されたが、この試合を松本恋/松本穏組はなんと2-0(21-18,22-20)のストレートで退けた。
「相手は強打も打てるけれど、ショットを得意とするチーム。前回はそのショットをすべて拾おうとして的が絞れなかった。今回決め球に狙いを定めて確実に拾い、相手のミスを誘うことができたと思う」(穏)と自分たちが企てた戦術が成功したことを試合後に明かした。
 
決勝戦。相手は名古屋大会1回戦で勝利した石坪聖野(アットホーム株式会社)/柴麻美(株式会社帝国データバンク)組だった。初めての決勝という大舞台で再び勝利を手にしたかったが、終始流れを掴めぬまま、0-2(17-21,14-21)のストレートで敗戦した。
 
持ち前のパワースパイクを封じ込められた恋は「自分の調子が悪いまま、終わってしまった。次の試合は妹に頼らずプレーできるようにがんばりたい」と悔しさをにじませた。ゲームメイク担当の穏も「対策は考えていたが、何もさせてもらえなかった。相手のほうが一枚上手だった」と敗因を語った。
 

ゲームメイクを担当する妹の穏
決勝後、肩を落とした2人だが、準優勝という結果は堂々と胸を張れる結果である。また、松本恋/松本穏組は試合を経験するたびに成長を見せている。期待の新鋭に与えられた「アクティオ・ワイルドカード」は、若い力が確実に育っていることを証明した。