「アクティオ・ワイルドカード」出場チーム紹介。 男子は日本体育大の富田/溝端組が参戦。

「アクティオ・ワイルドカード」出場チーム紹介。 男子は日本体育大の富田/溝端組が参戦。

「マイナビジャパンツアー2023」も「マイナビジャパンツアー2023第6戦都城大会 第24回ビーチバレー霧島酒造オープン」(9月1~3日・宮崎県都城市霧島ファクトリーガーデン)から、ついに後半戦がスタートする。

 この大会では、「アクティオ杯ジャパンカレッジ」の優勝者に与えられる「アクティオ・ワイルドカード」が導入される。大学ビーチバレーボール界を代表するチームが、トッププレーヤーたちの胸を借りて挑戦。ツアー協賛である株式会社アクティオが大学生にいち早くトップレベルを体感し強化を図ってほしい、大学からトップへの道筋を作りたいという想いから2021年に始まり、今年で3年目を迎えた。

今回は男子の「アクティオ・ワイルドカード」で出場する富田昂馬(日本体育大3年)/溝端拓真組(日本体育大1年)にクローズアップする。

▲U19代表に選出された経験を持つ富田

富田と溝端は、ともに高校時代からビーチバレーボールを始めた。2人が出会ったのは、2019年のU19日本代表のトライアウト合宿だった。
 富田の兄は、Vリーグの東レアローズに所属し日本代表として活躍している富田将馬。富田自身も幼い頃から東レのジュニアチームに所属し、バレーボールの世界で高みを目指してきた。溝端は高校2年時に兵庫代表としてジュニア選手権に出場し、ビーチバレーボールの腕を磨いてきた。

トライアウト合宿では、そんな2人の動きは光っていた。砂の上での機動力やジャンプ力を買われ、晴れて日本代表に選出された。富田と溝端は、ペアとしてU19アジア選手権に出場することになった。
 しかし、2020年3月。新型コロナウイルスの感染拡大によって、U19アジア選手権の開催が中止となり、代表ペアは『幻』に終わった。


▲日本体育大に入学した溝端

 同世代の2人だが、富田は日本体育大3年、溝端は入学ほやほやの1年である。溝端は高校卒業後すぐに神戸学院大に入学したが、2年の終わりに一身上の都合で退学。「大学をやめた後、関東にきてビーチバレーボールを続けようと思っていた」と言う。しかし、そんな溝端にビーチバレーボールの神様は、新たな縁を授けた。
 今春には日本体育大バレーボール部への入学が決まり心機一転、ビーチバレーボールを続けることになった。そこで待っていたのは、高校時代にU19でペアを組む予定だった富田だった。

ネット際での滞空力が武器のブロッカー・溝端、スピード溢れるディフェンスを得意とする富田。経験値も申し分ないことから下馬評では、今年の優勝候補筆頭として見られていた。
 だが、蓋を開けてみると関東ビーチインカレでは準決勝で敗退、7月のU23選手権でも準々決勝で姿を消した。「今までにないくらい負けが続いた。U23選手権のときは『次、どうしよう……』と迷いながらやっていた」と溝端。不穏な空気が流れていた。


▲コミュニケーションを図る溝端/富田組

 そんな中、迎えたビーチインカレ本番。富田/溝端組は、準決勝でU23選手権・優勝を果たした神戸学院大の山本隼輔/篠原颯汰組と対戦。2-0(21-12,21-16)で突破すると、決勝戦ではU23選手権・準々決勝で敗れた国士舘大の長山峻/林聖瑠組を2-0(21-15,21-17)と振り切った。

まっしぐらに大学の頂点を目指した富田/溝端組。富田のパンチのあるスパイクは止まることなく、溝端もネット際でプレッシャーを与え続けた。2人のプレーにもう迷いはなかった。

 

富田は「やっと勝つことができた。U23選手権後、2人で次の1点をどう取りにいくか、しっかり話し合ったことがよかったと思う」と勝因を語った。

 溝端も「1点の取り方が明確になった。練習中からひとつひとつ、『次の1点をこう取ろう』と突き詰めていった。たとえミスをしてもいいから1点の取り方を徹底した。気持ちの切り替えができるようになった」とチームの成長を噛みしめた。

 

 大学王者として乗り込む「マイナビジャパンツアー2023第6戦都城大会 第24回霧島酒造オープン」。富田は「マイナビジャパンツアーは、大学生の僕たちにとってはインドアバレーでいう『V1リーグ』のようなもの」だと語る。
 その挑戦権となる「アクティオ・ワイルドカード」を自らの手でつかみ取った富田/溝端組は、下剋上を巻き起こせるだろうか。

▲大学男女チャンピオンがトップチームに挑む