アクティオ・ワイルドカード出場チーム紹介。 伊藤/野口組の挑戦

アクティオ・ワイルドカード出場チーム紹介。 伊藤/野口組の挑戦

「マイナビジャパンツアー2023第6戦都城大会 第24回霧島酒造オープン」が9月1日(金)から3日(日)、宮崎県都城市で開催される。この大会は男女各12チームが参戦するが、その中に8月中旬に開催された「アクティオ杯 ビーチバレーボール・ジャパン・カレッジ2023 第35回 全日本ビーチバレーボール大学男女選手権大会」(以下・ビーチインカレ)の優勝者が「アクティオ・ワイルドカード」として出場する。

 この出場権利は、ビーチインカレの冠協賛である株式会社アクティオが、大学生たちに「いち早くトップレベルを体感し強化を図ってほしい」「大学からトップへの道筋を作りたい」という想いから導入されたものだ。大学チャンピオンとなった日本体育大の富田昂馬/溝端拓真組、産業能率大の伊藤桜/野口彩陽組が、トップチームに挑戦状をたたきつけることになる。
 そこで「アクティオ・ワイルドカード」で出場する男女チームや展望を2回に渡って紹介。初回は女子チームとして出場する伊藤/野口組をクローズアップする。


▲大学1年からペアを組んでいる野口と伊藤

 伊藤と野口がビーチバレーボールを始めたのは、ともに高校生の頃だった。伊藤は宮城県の利府高、野口は神奈川の横浜隼人高出身で、それぞれマドンナカップに出場している。野口は高校3年時に準優勝に輝き、春の高校バレーにも出場した経験も持っている。
 そんな2人は、大学ビーチバレーボール界で女王として君臨する産業能率大で出会った。1年時からペアを組みビーチインカレでは4位、2年時には3位と初めて表彰台に上がった。そして同年11月に初めて「マイナビジャパンツアー沖縄大会」に出場を果たし、次々にプロチームを打ち破る快進撃を見せ、準優勝をつかんだ。

 こうして早々と伊藤/野口組の名前は広まり、超大学級として注目を集めるようになった。大学3年時のビーチインカレではペアとして初優勝。隙のない強さを発揮してきた伊藤/野口組は、自らの保有ポイントでマイナビジャパンツアーに出場できるほどの実力を身につけてきた。
 「大学生チームがプロチーム相手にどこまでやれるのか」。伊藤/野口組は、そんな周囲からの視線と大きな期待を背負ってきた。だが、トップチームの壁はそう何度も簡単に越えられるものではなかった。

▲ブラジル留学を経験した野口

「トップチームからセットを取ることはできても、自分たちは最後の点の詰め方が甘い。ゲームメイクが課題だった」と伊藤。敗因について野口も「決まって自分が狙われてサイドアウトが切れなくて連続失点して同じ負け方をしてしまうことが多かった。そんな自分に悔しくて。そういう場面を乗り越えるためには、たくさん練習して自分に自信をつけたかった」と振り返る。

 

最終学年を迎える春。野口はそんな状況から脱するために、ブラジルでのビーチバレーボール留学を決意した。およそ6週間、専属のコーチのもと他の練習生とともに練習に励んだ。
「毎日、本当に練習がきつかったので、『これだけやったから大丈夫』と思えるようになった。ミスや負けに対しての考え方が変わったし自分に自信がついた」(野口)。
 一番近くで野口を見てきた伊藤は、帰国後「試合中の会話の内容が変わったし、会話の量も増えた。ケンカもしなくなった(笑)」とその変化を確実に感じ取っていた。

 


▲安定したプレーが売りの伊藤

 心身ともに成長を遂げた野口と、大黒柱の伊藤。最後のビーチインカレでも堂々の2連覇を達成し、その後の8月中旬に開催された全日本女子選手権においても、大学生代表チームとして史上初の決勝進出を果たした。
 
 高校時代から磨き上げてきたパス力、超大学級のテクニックとパワーを備えた総合力が武器の伊藤/野口組。そんな2人が次に目指すのは日本一、世界進出である。「ビーチインカレやツアーはスタート地点。いずれは国際大会に出場して活躍できる選手になりたい」(野口)

「マイナビジャパンツアー第6戦都城大会第24回霧島酒造オープン」で実施される「アクティオ・ワイルドカード」は、そんなビーチバレーボールに夢を抱く選手たちを後押ししていく。