PLAYERS INTERVIEW⑦ 髙橋 巧男子FIVBランキング日本人トップ178㎝のスピードスター

PLAYERS INTERVIEW⑦
髙橋 巧
男子FIVBランキング
日本人トップ
178㎝のスピードスター

178という身長は、ビーチバレーボール選手としては決して大きいほうではない。しかし、的確な読み&スピードを生かしたディグ、相手の弱点を的確につくジャンプサーブを武器に、長谷川徳海と組んだ男子FIVBランキングでは日本人ペアトップの51位(216日現在)につけている。「背は低いですが、いろんな工夫をすれば2mを超える海外選手にも勝つチャンスがあるのがビーチバレーボールの魅力です」と言う髙橋に、ビーチバレーボールにのめりこんだ経緯、そして2021年に延期となった東京2020オリンピックへの思いなどを聞いた。

――バレーボールを始めたのはいつですか?
「母がママさんバレーをやっていたこともあり、1歳の時からバレーボールに触っていたみたいです。本格的にバレーボールを始めたのは、小学1年の時。当時は他にもスポーツをしていて、幼稚園から小学校中学年までは水泳、同じく幼稚園から小学1年まではサッカーをやっていました。その中でバレーボールがずっと続いたのは、ママさんバレーでやっていた小学生ジュニアバレーチームのコーチと監督に出会った縁もありますが、『水泳、サッカーも楽しかったけどバレーボールが楽しくて一番ハマった』と感じていたからです」

――ビーチバレーボールを始めたのはいつですか?
「大学1年の時です。友だちに誘われて誰でも参加できる『お台場ビーチバレー』に出たのがキッカケです。男女ミックスの4人制に出たのですが、インドアと違って風があってボールが変化するので難しく、下は砂浜なので思うようにジャンプもできなかったのですが、プレーすること自体は『楽しい』と感じました。試合は歳が倍くらい離れているチームに負けて、それで火がついてしまって(笑) すぐに大学のビーチバレーボール部に入部しました。当時の監督が、元男子ビーチバレーボール日本代表監督の平野将弘さんだったのもすごい縁だと思います」

――本格的にビーチバレーボールをスタートさせて大変だったことは?
「風があること、足が砂にとられることもそうですが、天井がないことで遠近感がなく、それに慣れるのも大変でした。中でも砂は、インドアで走っている感じでもビーチでは歩いているぐらいのスピードになるので、砂の上で速く動くにはさらに運動量が必要です。それを2人でずっと動き続けてカバーするので、かなりの体力を消耗します」

――髙橋選手がビーチを始めてから今年で11年目になります。改めてビーチバレーボールの魅力を3つ挙げるとすればどんなことですか?
「一つは、すごく開放的なことです。大会会場ではDJが音楽を流していますし、お酒を飲みながら観戦することもできます。世界的に人気のあるスポーツでもあり、見ている観客の方にとってもプレーする選手にとっても、とてもエキサイティングです。
二つ目は、背の低い選手でもいろんな工夫をすれば勝てるということ。ビーチバレーボールは、ネットの高さがインドアのバレーボールと一緒で(男子は2・43m)、コートは前後左右が1mずつ狭い8m四方になっています。海外ツアーだと身長210㎝以上の選手がごろごろいて、その中に入ると僕は絶対と言っていいほど一番身長が低い。それでも戦いの中でいろんな工夫をして勝つということがとても楽しいです。
三つ目は、2人でコートを守るために一人一人がすべてのプレーをしなければならず、いろんな技術が身につくこと。僕は中高ずっとリベロでレシーブは好きで楽しかったのですが、今はスパイクもサーブも打ち自ら点も取れるので楽しいです」


サーブも髙橋の武器の一つ

――身長の高い選手に勝つための工夫というのは具体的にどんな事ですか?
「触れるボールの範囲も広いので、より厳しいコースにサーブを打つなどの技術はもちろんですが、試合の中で相手の特徴を捉えて、それを突破するための糸口を探るということが大事になってきます。例えば、自分たちがこっちに動くと相手はこっちに打ってくるクセがある、とか。そういうフェイクも使って相手を攻略していくのが楽しいです」

――ビーチバレーボールはペアの世界ランキングで強さが表示されるとても分かりやすいスポーツです。だからこそ海外遠征が必要不可欠ですが、1年間でどれくらい遠征されているのですか?
「年間の半分位は海外で過ごしています。大会で2週間海外に行って戻ってきたり、合宿で3週間アメリカに行ったりオーストラリアに行ったり。試合への出場だけでなく、身長が高くパワーも強い海外選手と練習試合をするため海外遠征に行っています」

――海外遠征の時、競技で必要なもの以外で絶対に持っていくものはありますか?
「梅干しと少し前からハマっているお茶や抹茶です。ビーチバレーボールは炎天下で汗を流しながら戦うことが多いので、塩分補給が大切になります。その点、梅干しは塩分やクエン酸といった栄養をとることができます。そしてお茶や抹茶は、リラックスができます。あと、単純にお茶が好きです。海外選手のホームパーティに呼んでもらったとき抹茶をたてて『good taste』とは言っていたのですが少し渋そうな顔をしていました」

――海外遠征で行ったところで、時間があればもう一度プライベートで行ってみたいところはありますか?
「スイスのルツェルンですかね。アルプスの山々の景色がすごくきれいでした。その後、高くそびえた山の間を通ってオーストリアに移動するときの電車からの景色もきれいでした。あのようなところでゆっくりしたいですね」

――これまで国内でも数々の選手と対戦されてきました。髙橋選手が『すごい』と思った選手を教えてください。
「一人目は、高尾和行さんです。僕と同じくらいの身長ですが、長年ビーチバレーボール選手として活躍されていて、オリンピック(1996年アトランタ五輪)にも出場されています。今は飲食店を経営されているのですが、高尾さんがビーチバレーボール選手ということを知らず人柄にひかれてお店に行っているお客様がたくさんいます。人柄もすごいしプレーもすごい。憧れですし、有難いことに指導もしていただいています。
二人目は西村晃一さんです。西村さんも身長が僕と同じくらいで、年齢は46歳と僕より18歳も上。『その年齢にも関わらず、プレーされていてすごいな』と純粋に思います」


相手との駆け引きもうまい

――髙橋選手自身は、試合中はどんなことを考えてプレーされていますか?
「いちばんは『応援に来てくださっている方々に楽しんでいただきたい』ということです。そのためにもいいプレー、いいパフォーマンスをしたいと思っています」

――アスリートとして日頃から気をつけていることはありますか?
「やせやすい体質なので、とにかく食事の量をとるようにしています」

――現在、東京は外出自粛要請が出ていますが、どのように過ごされていますか? ※取材は5月14日に電話インタビューで実施
「親戚の方が40kgの米袋を送ってくれたので美味しくいただきながら少しずつ軽くなってきているのですが、おもりにして自宅でできるトレーニングを工夫してやっています。技術面では、動画を見ながらイメージを作ったり分析したりしています」

――来年に延期となった東京2020オリンピック。髙橋選手にとってはどんな大会ですか?
「支えて下さっている方々や家族、所属先や応援してくださっている皆さんへの感謝の気持ちをプレーで表現できる大会の一つだと思っています。最近は明るいニュースが少ないためスポーツで少しでも周りを、日本を盛り上げていきたいです」