PLAYERS INTERVIEW④ 池田隼平

PLAYERS INTERVIEW④
池田隼平

鎮西高時代には、バレー日本代表の柳田将洋(ポーランド・クプルム ルビン)らとともに脚光を浴びていた池田隼平(株式会社カブト)。その後、ケガに泣かされた彼がさらなる上を目指すために選んだ舞台は、ビーチだった。転向2年目となる2018シーズンはツアー初優勝を経験。3シーズン目にかける意気込みを聞いた。

──ビーチバレーボールに転向されたいきさつから教えてください。
池田:出身が鎮西、法政ということで、大学の時から朝日(健太郎)さんとお話する機会がありまして、一度お台場に試合を見に行った時からずっとやりたいなと思っていました。ただ大学2年の時に足が悪くてインドアもまともにできず、卒業後は朝日さんが所属されていたフォーバルに入社してその機会を狙っていたんですが、なかなか仕事とバレーボールとの両立は難しいと思い、会社をやめて2017年にビーチバレーボールに転向しました。

──ビーチバレーボールにどこに魅力を感じたのでしょうか?
池田:インドアと比べてビーチは、自由な雰囲気がありますよね。選手主導でできる。単純にインドアにない雰囲気が面白そうだなと。それとインドアで上に行くのは難しいと感じていたというのも理由にあげられます。

──鎮西高時代は、柳田将洋選手、山田脩造選手(豊田合成)らと並んで注目を浴びていたそうですね。
池田:バレーボールは中学でやめて、高校では違うスポーツに挑戦しようと思っていたのですが、JOC杯で有望選手に選出されたので高校でも続けることになりました。高校生ですからね。若いですから、騒がれるのは楽しかったです(笑)。今、ビーチバレーボールをやっている女子の二見(梓)選手も同い年で、彼女はその代のスター選手でした。

──インドアの代表である柳田選手とは仲はいいのですか?
池田:連絡はたまにとる感じですけど、お互いのSNSを見たりしているので、なんとなくは意識していると思います。彼は日本代表チームで主将もやっているので、戦う舞台は違うけれど、いい刺激をもらっています。


2018シーズン東京大会での試合

気づいたら勝っていた初優勝

──転向2年目となった昨年2018シーズンは、初のジャパンビーチバレーボールツアー優勝を経験しました。1年目と2年目の違いなどはあったのでしょうか。
池田:1年目はポイントもなくて、パートナーもいなくて、大きい試合にも出られなかったので、とくに思い出はないですね(笑)。まあ、こんなものか、と思いました。何しろ、ビーチバレーボールの世界自体、どんなものかわからなかったので。2年目は庄司(憲右)選手と組んで、初めて小浜大会でツアー優勝することができました。周りの方からの目が変わりましたね、だいぶ。

──自分の中で変わったことはありましたか?
池田:変わったのかな…。とくにこれを変えたというものは明確に出てこないんですけど、しいてあげるならば、気持ち的な余裕がありました。自分が狙われていても、負ける気がしなくて気づいたら勝っていました。それ以降はさっぱりだったので、そのスイッチがどこにあるのか、今探っているところですね。

──試合では、あまり感情をむき出しにするタイプではないですよね。
池田:試合になったら、闘志をむき出しにするよりも、『イエーイ!』と調子に乗って楽しくやりたいタイプなんです。小浜の時がまさにそうでした。『ワ~ッ』となってしまうと熱くなってしまうと、周りが見えなくなって自分を閉じ込めてしまうことがあります。

──当然、欲もあると。
池田:欲はあります。じゃないとビーチバレーやっていないですね。ただ、表現するのは下手くそだと思います。今後上を目指していく上で、自信もありますよ。

──砂の上でのプレーを見ていると、まだ転向して2年目ですが、ソツなく動けている印象です。
池田:中学、高校では、そこまで深く考えなくてもこなしてこられた、と思っています。ビーチにきてもそう思っていました。でも今は、考えてプレーすることを教わっています。勉強中です。

──どんなことを考えてやっているのですか?
池田:ひたすら同じことを繰り返す反復練習は、息が上がると質が下がって目的を見失いがちになります。けれども、そんな時でもどんなタイミングでボールをとるか、足をどっちから出すか、などどんなに疲れていても考えられるように取り組んでいます。

──それまではそのように意識したことはなかったのですか?
池田:ここまで考えているのは初めてですね。今まではただ、練習をこなしてしまうタイプでした。なんとなく、できてしまっていたので。だから今、たくさん発見があって楽しいです。考えてもわからなければ、わかるまで教えてくれるコーチもそばにいるので。


2019年1月からは所属先も決まった

新しい自分を求めて

──2019シーズンはベテランの白鳥(勝浩)選手とペアを組んでいかれるのですね。
池田:白鳥さんからペアを組むことを前向きに考えてほしいと言われまして、まさかくるとは思っていませんでした。その時の状況を考えると迷いもあったんですけど、率直に言いますとこんな機会はないですし、白鳥さんと組みたいと思いましたね

──チームの目標はどのあたりを設定されているのでしょうか?
池田:2020年の東京オリンピックに出場することです。オリンピック予選まであと1年ちょっとしかない状況で、ポイントもないのでワールドツアーにも出られないですし、今すぐ勝ちたくても、そのステージで戦うこともできない。簡単なことではないですよね。現実的に考えて、自分たちのチームにとって一番近いルートは、開催国枠を狙うこと。そこを目指してチームを作っていこうという話をしています。

──池田選手自身、そのためにはどのように行動していきたいですか?
池田:チームの組み始めはすぐに結果は出ないと思います。そこでくさるのではなく、じゃ何をしたらプラスになるのか、を白鳥さんと考えていける関係性を築けていけたらと思います。僕のイメージでは、白鳥さんは試合に負けるとタダならぬ雰囲気が漂うと言うイメージがあるので(笑)。あっあくまでもイメージですよ(笑)。そういう雰囲気が漂うような関係にはなりたくない。時には必要かもしれませんけど、目標に向かってチームとして機能し続けるいい関係性で作っていきたいと思っています。

──個人としてチャレンジしていきたいことはありますか?
池田:先ほどの話にもあったように自分は表現するのが下手くそなので、自分の内側を表現できるようになりたい。白鳥さんからも『何を考えているかわからない』と時々言われることがあるので、伝える力をつけていきたいです。そのチャレンジを達成することが、白鳥さんといい関係性を築くカギになっていくかもしれないですね。2019年は自分の想いを表現して、新しい自分をお見せできるようにがんばります。


2018年松山大会のワンシーン

池田隼平プロフィール