PLAYERS INTERVIEW ⑱ 平良伸晃

PLAYERS INTERVIEW ⑱
平良伸晃

巧みなレシーブ技術、パンチ力のある攻撃はレシーバーの中でも群を抜く平良伸晃(ゲストハウスLapsi/KBSC)。2021年マイナビジャパンツアー沖縄大会では3位入賞を果たし、ステップアップしていることを証明した。地道にコツコツとビーチバレーボールを続けてきたその想いと新シーズンへの意気込みを聞いた

 

──2021シーズンは振り返ってどんなシーズンでしたか?

「以前、静岡に住んでいたのですが、新型コロナウイルスの影響を受けて県外へ練習や大会に出ることも少なくなりました。なかなか思うように練習できなかった分、その時間は海外の試合や世界の選手の映像を見て過ごしていました。いろいろな視点で映像を見て、自分のプレーや考え方を見直すきっかけとなりました。昨シーズンはその成果もあって、新しい考え方とプレーを少しずつコートで発揮できたと思います」

 

──上田翔貴(駒澤大/KBSC)選手とのペアで3位入賞を果たした「マイナビジャパンツアー沖縄大会」でも、その成果が発揮できたのでしょうか?

「はい。映像を見ながら自分の身体の使い方を深掘りしていくと、よく使う筋肉としたい動きがマッチしていないので、それがケガにつながりやすい原因だと気づきました。それまで自分は太ももの前の筋肉を使いがちだったのですが、もっとお尻とハムストリングスの筋肉を使っていこうと意識し始めた結果、沖縄大会でもいい感触をつかめました」

 

──年下の選手とともに結果を出したというのも大きかったのではないですか?

「ものすごくいい経験になりましたね。上田選手には僕のほうから声をかけて大会に出場しました。佐藤亮太選手(テクノスジャパン/雄大グループ)とのペアを解散した後、どの選手と組めば上のチームに勝てるのだろうか、と考えていましたが、あるとき上田選手のプレーを見て『勝てる』と直感し、今シーズンからペアを組んでいくことになりました。沖縄大会ではたくさんの方に協力してもらった結果、ベテランチームに勝利することができました」

 

上田翔貴選手とペアを組んだ沖縄大会で3位入賞を果たした

 

──平良選手が目指すレシーバー像は?

「非常識な発想をひねり出して、心理的な面でもプレーの面でも『この人、嫌だな』と相手から嫌がられるディフェンダーになりたいです。自分の体格では、レシーバーとしてどこか突き抜けているモノがないと、海外で勝っていくのは厳しいですが、自分のプレーを見てもらって、ビーチバレーボールに興味を持ってもらい、影響力のある選手になれたら幸せだと思いますね」

 

──目標にしている選手はいますか?

「目標にしている選手はいませんが、プレーや戦術を参考にしている選手はたくさんいます。世界で、自分と身長が近い選手ではイタリアのカランブラ(Adrian Ignacio CARAMBULA RAURICH)選手。身長は高いですが、ディフェンスのスタイルをマネできないかなと思っているのはアメリカのクラブ(TREVOR CRABB)選手とノルウェーのクリスチャン・ソーラム(CHRISTIAN SANDLIE SØRUM)選手です。よく試合の映像を見ています」

 

──高校でビーチバレーボールを始めて、卒業後は新潟、千葉、静岡、そして今は神奈川を拠点に、いろいろな環境で経験を積んできました。ここまで頑張り続けてこられた源は?

「現在、自分はアルバイトをしながらビーチバレーボールの練習、トレーニング、試合などに取り組んでいます。以前はアルバイトをしながら活動していた選手が多く、それがある意味、『当たり前』だったと先輩から聞いたことがあります。けれど、実は自分の世代にアルバイトしながらビーチバレーボールを続けている選手は、そんなにいません。大学時代に結果を出して注目されていた選手も数人いましたが、卒業してからはそれぞれの事情で続けることが難しくなり、男子は自分だけです…。だからこそ、仲間の分も頑張りたい気持ちがあります」

 

──続けたくても続けられなかった仲間たちの分までやめられないですね

「やめたいと思ったことは一度もないですね。もっと上を目指していきたいという気持ちがあります。自分がなぜビーチバレーボールをやっているか? と考えると、それは自分がやると決めたことだからです。もちろん悩むときもあります。でもそこは考え出すと止まらなくなるので、大変だと思わないように。あまりうまく言えませんが、自分がやりたいと思うことだから、今できることに取り組んで、日々を過ごしています」

 

──アルバイトをしながら練習やフィジカルトレーニングをこなし、空いた時間に映像をチェックする。ハードな生活ではないでしょうか?

「そんなことないですよ。平日は午前中に練習、17時から23時までアルバイト。週末はビーチバレーボールのコーチ業のアルバイトをしていますが、週1日は休んでいます。これが習慣になっているので、自分ではきついとは思っていません。シーズン開幕に向けて資金も貯めないといけませんので」

 

巧みなレシーブ技術に磨きをかけて新シーズンに臨む

 

──開幕も迫っていますね。それでは最後に、新シーズンへの決意をお願いします

「こんなことを改めて言うのも恥ずかしいですが、自分が好きで始めたビーチバレーボールを続けてきただけなのに、後ろを振り返ったとき、自分を応援してくれる方々がたくさんいてくれました。応援してくださる方のためにも頑張りたいですし、競技に集中できる環境を少しずつでも早く作っていきたいと思っています。

 そのためにも今年は日本一になることを目標にしています。もちろんチャンスがあれば海外にも行きたいと思いますが、メインの目標は上田選手とのペアで日本一。自分はどちらかというと率先的にリードするタイプではないですが、それでも上田選手に伝えられる部分はあるので、できるだけ会話をして、自分が思っていることが伝えられるようにコミュニケーションを図っていきます。沖縄大会の経験と、コロナ禍でも自分で試して伸ばしてきた部分を踏まえ、どんどんチャレンジして飛躍の年にしたいです」