石井/村上組が出場する初形式のオリンピック予選。「オリンピック・クオリフィケーショントーナメント」展望。

石井/村上組が出場する初形式のオリンピック予選。
「オリンピック・クオリフィケーショントーナメント」展望。

2020年東京オリンピックの予選にあたる「オリンピック・クオリフィケーショントーナメント」が9月18日(水)から22日(日)、中国の海陽市で開催される。

この大会は、上位国に出場権利が与えられるオリンピック予選レースとしては世界選手権(ドイツ・ハンブルグ、7月開催)に続いて2大会目。

世界ランキング上位15ヵ国(各国1チームのみ、プラス開催国。7月16日時点ワールドツアーランキング)による男女16チームが集結するこの大会に、日本代表女子の石井美樹(湘南ベルマーレ/荒井商事)/村上めぐみ(オーイング)組が上位15ヵ国目に入り、出場を決めた。

この大会は、2012年ロンドンオリンピック、2016年リオデジャネイロオリンピックで採用されていた「世界最終予選」(各大陸のコンチネンタルカップ2位、3位チームが出場)が廃止され、替わりに誕生したオリンピック予選レースだ。エントリーの様相から展望を占ってみたい。


女子優勝候補のカナダ

2018-2019シーズンの終盤に開催され、上位2ヵ国に出場権が与えられる新しい予選形式。そのレギュレーションは、タフさが必要とされる。準決勝にたどり着くまでの第1フェーズから第3フェーズにおいてすべて総当たりのプール戦、4日間で合計8試合を戦わなければならない。そして9試合目となる最終日に勝利したチームが東京への切符をつかむことができる。

まさに、死闘の先に名誉があるレギュレーションと言えるだろう。しかし、いざエントリーの蓋を空けてみると、この大会はオリンピックランキングに関係するポイントも付与されない、賞金もないとあって、ワールドツアーランキングトップに位置するチームの参戦は少なかった。

とくに石井/村上組が出場する女子は、ワールドツアーランキング10位以内(7月16日時点)に位置する国でエントリーしたのは、オランダとカナダのみ。すでに1枠(世界選手権) を確保しているカナダは、この大会でも2018-2019シーズン前半でワールドランキングトップを走っていたBrandie/Bansley組が2枠目を狙いにきている。

男子は、比較的ランキング圏内上位のチーム、カタール、オランダ、イタリア、スペイン、ドイツなどが顔をそろえた。ここで早々と出場権を獲得できれば、本番に向かって調整に入れるメリットが生まれる。

男女とも共通しているのは、過去6大会のオリンピックで欠かさずメダルを獲得してきたビーチバレーボール王国のアメリカとブラジルのエントリー状況だ。アメリカは出場を辞退し、ブラジルはエントリーしているが上位チームを送り出していない。

アメリカ、ブラジル、そのほかの強豪国の出場状況をみるとランキング上位圏内にいる国は、この新しい大会に照準を絞っていないことがわかる。
さらに女子のオーストラリア、スイス、男子のポーランドなどの状況からも、国によって2番手以降のチームを送り出す国もある。今大会を通じて、出場チームを送り出す権利を持つ各国の協会の姿勢、選手層も浮き彫りとなった。


ワールドツアー東京大会で3位入賞した男子のオランダ

もちろん、FIVBとしては最初からこのような狙いで大会を組んではいなかったと思われるが、最終的にこの新しい予選形式はランキング中間層、2番手以降のチームにチャンスが与えられるという付加価値がつく大会となった。

日本は、女子のトップランカーとしてポイントを積み重ねてきた石井/村上組が出場。この最大のチャンスを石井/村上組は生かすことができるか。石井/村上組のプールには、世界ランキング54位のブラジルと強豪のイタリア、スペインがいる。格下のブラジルに確実に勝利し、第2フェーズへ進出し波に乗りたいところ。

18日(水)から第1フェーズがスタートする。

大会概要