二見/長谷川組が念願のレディース制覇。「第30回全日本ビーチバレー女子選手権」。

二見/長谷川組が念願のレディース制覇。
「第30回全日本ビーチバレー女子選手権」。

女子日本チャンピオンを決める「ヘリオス大阪 第30回全日本ビーチバレー女子選手権大会(ビーチバレージャパンレディース2019)」が8月15日(木)から18日(日)、大阪府泉南郡岬町せんなん里海公園で行われた(15日は台風10号の影響で競技中止)。

今年は30回目の記念大会であり、2015年まで行われていたダブルエリミネーショントーナメントを再び採用。2敗するまでトーナメントからの敗退が決まらない形式は、試合数が増えるとともに対戦カードの運に左右されにくいため、実力がないと勝ち上がっていくのは難しい。

台風の影響でさらにタフとなった大会には、全国33都府県からの代表47チームに加え、日本バレーボール協会の推薦5チーム、大学代表、高校代表が出場、計54チームが集まった(福岡県代表2チームが台風により棄権)。

1日目の競技中止を受け、2日目はトーナメント4回戦、敗者復活となる25位決定戦までを1セットマッチで行い、3日目からは通常通りの3セットマッチで争われた。


攻めの姿勢が見られた二見の攻撃

最終日のファイナル4に残ったのは、実績をあげているチームだった。
今大会3連覇を狙う西堀健実(トヨタ自動車)/草野歩(パソナ)組と、前週、ワールドツアー・ハンガリー・ブタペスト大会で優勝した鈴木千代(クロス・ヘッド)/坂口由里香(オーイング)組。トーナメント6回戦で西堀/草野組に0-2(18-21,19-21)で敗れながら、敗者復活から勝ち上がった長谷川暁子(NTTコム)/二見梓(東レエンジニアリング)組。同じく敗者ブラケットから進んだ坂口佳穂(マイナビ・KBSC)/村上礼華(ダイキアクシス)組となった。

準決勝は西堀/草野組と坂口(佳)/村上組の対戦。
坂口(佳)/村上組が積極的な攻めで、21-11と圧倒的な差をつけ第1セットを取るものの、次第に西堀/草野組が相手の勢いを削ぐゲームコントロールで形勢逆転。第2、3セットを西堀/草野組が21-17、15-11で取り、3連覇へ向け決勝に駒を進めた。

もう1つの準決勝は長谷川/二見組が、2-0(21-16,21-11)のストレートで鈴木/坂口(由)組を下した。

3位決定戦は、鈴木/坂口(由)組と坂口(佳)/村上組が対戦。両チームはトーナメント6回戦で当たり、鈴木/坂口(由)組が2-1(17-21,21-14,15-9)で勝っている。再戦となった表彰台争いは、サーブから積極的に強打で攻めていく坂口(佳)/村上組に対し、ディフェンスのコンビネーションで試合を組み立てる鈴木/坂口(由)組の図式となった。

ただし、この日3試合目となる坂口(佳)/村上組は、動きにキレがなく、武器であるサーブでなかなか相手を崩すことができない。6回戦のように先手を取ることができず、第1セットを16-21で落としてしまう。
第2セットから村上の強打、サーブで積極性を取り戻すものの、鈴木/坂口(由)組もシステム変更やポジションチェンジなど対応力を高さを見せ、流れを掴むまで至らず試合は拮抗。デュースを繰り返した末、鈴木/坂口(由)組が31-29で取り、セットカウント2-0で3位の座を奪った。


連覇ならなかった西堀/草野組

西堀/草野組と長谷川/二見組の決勝も再戦。初戦となった6回戦での対戦がポイントとなった。
長谷川/二見組は前日と異なり、ボールを草野ではなく西堀に集中させ点数を重ねていく。西堀/草野組は点数的にはついていくものの、対応は後手に回ってしまう。

草野は「狙いが変わるのはある程度想定内だったが、対応に準備が遅れた部分もある。拮抗していたが流れは向こうにいっていた感じだった」と話す。長谷川/二見組は、二見が強打にショットを絡めた緩急を付けた攻撃が冴え、西堀/草野組に付け入る隙を与えなかった。「強打だけでは簡単に取られてしまうので。でもしっかり打つところは打っていかないといけないと思っていた」と二見は話した。第1セットを長谷川/二見組が21-18で取る。

第2セットに入っても同じような展開が続くが、中盤から西堀もサイドアウトを切ってくるになり西堀/草野組が盛り返す。長谷川は「相手は戦術をたくさん持っている。ただ自分たちの方が常に攻めることができたし、サイドアウトをしっかり切れたと思う」と話す。終盤、デュースまでもつれ込んだが23-21で長谷川/二見組が第2セットも取り、念願のジャパンレディース初優勝となった。


調子が上がってきた長谷川

2017年には同じ決勝カードで負けており、本大会でも一度は西堀/草野組に負けている長谷川/二見組。
「リベンジとは口に出してはいなかったが、その気持ちは持っていた」と長谷川は話す。今シーズン当初はコーチの交代もあり、うまく噛み合っていなかった長谷川/二見組。しかし7月に行われたワールドツアー・エドモントン大会(カナダ)では銅メダルを取り、調子を急激に上げている。二見の攻撃力が上がり、技術、精神的にもチームの安定感がでてきた。ただ長谷川は「世界で戦うためには安全にゲームを進めていてもダメ。どんどん攻めていこうと話している」と言う。

今年はダブルエリミネーショントーナメント形式、短いインターバルで3、4試合をこなすタフさが求められた。そんな大会を制した勝者は、真のチャンピオンと言っても過言ではないだろう。

大会公式サイト