インドアとビーチの本質を見直す機会。「ビーチバレーボールコーチ・スキルアップ研修会」開催。

インドアとビーチの本質を見直す機会。
「ビーチバレーボールコーチ・スキルアップ研修会」開催。

日本バレーボール協会主催の「ビーチバレーボールコーチ・スキルアップ研修会」が2月23日(土)、神奈川県川崎市川崎マリエン内にある競技別拠点ナショナルトレーニングセンターにて開催された。

日本ビーチバレーボールが日本に上陸しておよそ30年あまり、指導者向けの講習は日本ビーチバレーボール連盟が全国各地で開催してきたが、日本バレーボール協会が主催となって研修として開催されるのは初めて。その背景には、2019年から国民体育大会において47都道府県による少年種目の導入が起因している。


講義「世界で勝つためのチーム作り」

研修会のコンセプト

日本バレーボール協会は、2018年から若年層の強化事業の拡大、ジュニア早期から継続的に強化を行っていくことを指針にあげている。そのためには、全国各地でビーチバレーボールにかかわる指導者の普及、コーチングスキル向上は課題のひとつであり、このたび研修会の開催に至った。

これまでビーチバレーボールの普及に取り組んでこなかった都道府県を含め、北は北海道、南は沖縄から60名が参加。ゲスト講師には、日本代表女子チームのコーチである望月剛氏を招き、質問形式の講義やスキル講習を行った。

午前中は、日本バレーボール協会ビーチバレーボール事業部のジュニア強化ディレクターである牛尾正和氏が2019年から2028年までのビッグビジョンについて述べた「JVAの若年層強化の方向性」、ジュニア強化担当の桐原勇人氏がナビゲーターを務めた望月剛氏による「世界で勝つためのチーム作り」、ジュニア強化のトレーニングを担当している酒匂宙夢氏による「若年層のビーチバレーボールにおけるフィジカル強化」の講義が行われた。


各技術のポイントを指導する望月氏

午後からは、酒匂氏によるアジリティ、ジャンプ力アップにつながるトレーニングメニューの紹介、望月剛氏が普段行っているコーチングを実践した。選手たちに声をかけるうえでどのようなポイントに気を配っているか、各技術練習においてどんなメニューを取り入れているか、およそ2時間に渡って講習を行った。

望月氏は、「その日の選手の表情、コンディションを観察し、天気などの環境によって、練習メニューを決めている。チームの長期目標や練習のプランも、選手に提案して最終的には選手が決める。自分が選手の結果やプレーを評価することはない。『なぜそのようにプレーしたのか?』、あくまでも疑問に思ったことに対して選手の考えを聞いて理解をする。自分の考えだけが正解だと思っていない。その選手にとってどんな接し方、練習を行ったほうが効果的なのかを常に考えている」と、自らのコーチングコンセプトを伝えていた。


練習メニューを紹介

参加者の感想

国体の少年種別導入において、県内での普及を目指していくという栃木からは7名の関係者が参加した。栃木県バレーボール連盟の大島俊久理事長は、「これからビーチバレーボールに取り組んでいく各地域に向けて、普及を図っていくために今回は中学生、高校生の指導者の方にも足を運んでもらいました。競技のことを知るには非常にいい機会でした。もっと指導方法や練習の仕方を教えていただきたかったし、意見交換の時間があったらいいなと思いました」と感想を述べた。

一方、高校生の全国大会では未だ出場はなく、2018年の中学生の全国大会に初めて出場したという秋田からも参加があった。県内の幼児、小学生、中学生向けのクラブチームを運営している小松香奈子氏は、「子どもたちがバレーボールを続けていくひとつの選択肢としてビーチバレーボールに取り組もうと思いました。秋田では冬季の間は砂の上では練習できませんが、普段からは4人制や3人制を導入し、砂に近い環境でできないかと日々考えていたので、今回もスキル講習の時に質問させてもらいました。インドアとは違う身体の使い方もよくわかりました。インドアの向上にもつながるヒントになれば、と思っています」と語った。

また、これまで千葉代表として全国大会にチームを輩出してきた中央学院高男子バレーボール部顧問の新城智仁氏は、望月氏の講義を聞いてコーチングの視点で新たな発見があったと振り返る。
「自分自身、沖縄出身でインドアの延長で高校や大学でもビーチをやっていました。とくに教えてもらった経験はないので、今回改めてプロコーチのお話を聞いて、競技性に基づいた新たな気づきがたくさんあり、勉強になりました。高校でビーチをやるとしたらインドアもやっている学校がほとんどです。ビーチをやることでインドアにも生きてくるメリットなども、今回の研修で全国各地の先生方と共有することもできましたので、その魅力を千葉県の指導者の方にも伝えていきたいと思います」(新城氏)。

参加者からは、インドアとの指導および技術の違いや砂の上での動き方などについて、たくさんの質問が飛び交った。

日本バレーボール協会は初の試みについてジュニア強化ディレクターの牛尾氏は「インドアを指導されている参加者の方々が多く、インドアの考え方とビーチの考え方、両方が織り交ざったことで競技の本質を見直していただき、コーチングの『考え方』を一同に学んでいただいたよい機会となったと思います。今後もこのような企画を導入し、ジュニア層の拡大を目指していきたい」と展望を語った。

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