飽きさせないビーチ空間を実現。「第1回清水カップ」開催

飽きさせないビーチ空間を実現。
「第1回清水カップ」開催

日本ビーチバレーボール連盟の主催となる「第1回清水カップ」が10月20日(土)、21日(日)の2日間、静岡県静岡市清水区の清水マリンパークにて開催された。この大会は地元企業の協賛の下、イベント広場に砂を運び、特設コートを設置。男子8チームの公式戦と女子4チームのエキシビションが行われた。

日本一の富士山、清水港をバックにして行われた今大会。時折、客船の汽笛が聞こえ、レンガの回廊に囲まれた海辺の空間。これまでの日本のビーチバレーボール史上にはないロケーションだ。


商業施設が隣接するイベント会場

すぐそばには商業施設、魚市場、客船ターミナル、地元のグルメを集めたフードコートがあり、イベント広場には人々が絶えず、溢れていた。選手として出場しながら、大会の企画・運営に携わった西村晃一(アイ・テック)はその経緯を話す。
「2年前からスポンサーになっていただいているアイ・テックさんのホームである清水で、ビーチバレーボールの価値を上げる大会を開催できたら、という話になりました。とにかく会場に来てくれた人を飽きさせないこと。スポーツ、音楽、食、家族のふれあいが融合することに重点を置きました」

イベントは盛りだくさんだった。コートそばにステージを設け、多くの子どもたちや家族が詰めかけダンスバトルを行い、地元のサッカーチーム・清水エスパルスの選手を招き、トークショーを開いた。テレビ局とのタイアップでは事前告知を流し、大会当日はタレントを呼び、ビーチバレーボールを体験するなど会場を盛り上げた。


富士山をバックに展開された公式戦

そんな中、男子決勝に残ったのは西村晃一・Edwin Ratledge(アイ・テック) 組と、白鳥勝浩(トヨタ自動車)/越川優(横浜メディカルグループ)組だった。

ホストの西村が優勝請負人として選んだパートナーは、アメリカのRatledge。AVP(アメリカのプロリーグ)の大会でも優勝経験のある身長204cm、42歳のベテランブロッカーだ。そのブロック力はさることながら、サウスポーから繰り出される破壊力のある攻撃力も大きな武器。
準決勝の清水啓輔(ひまわり福祉会)/長谷川徳海(愛媛県競技力向上対策本部)組との試合ではフルセットに持ち込まれ、窮地に立たされたが、第3セット11-13からRatledgeのブロックで逆転劇を演じた。


優勝しMVPを受賞した西村

準決勝まではなかなかコンビが合わず、勝負所でブレイクできず苦しんできた西村/ Ratledge組だったが、決勝戦では序盤からコンビがかみ合い始める。Ratledgeの丁寧のオーバーハンドセットからテンポの速い攻撃も有効的に決まり、6-2とリードを奪う。
ディフェンス面でもRatledgeがネット際で存在感を発揮。高いブロックから逃げるように仕掛けてきた越川のショットをレシーバーの西村は見逃さない。西村/Ratledge組は得点を重ねて主導権を握って離さず、第1セット21-12と先取した。

第2セットは白鳥/越川組は越川のジャンプサーブがさく裂し応戦するが、なかなか突破口を見つけられない。西村/Ratledge組が最後まで攻守ともに安定感を見せつけ、21-18とストレートで制した。

「日本のチームを知らない外国人選手との課題は、コミュニケーションの精通。Ratledgeはしっかり役目を守ってくれた」とアメリカからやってきたRatledgeとの戦いを振り返る。Ratledgeは、西村がこれまで連れてきた外国人選手の中で最高峰クラスの高さを持つ選手。西村がその高さをどう活かすか、また対戦するチームはその高さにどう対抗するか。コート上で展開される駆け引きやせめぎ合い、ビーチバレーボールの醍醐味が会場にダイレクトに伝わり、会場もヒートアップした。


国内初ペアリングの越川と白鳥

一方、準優勝に終わった白鳥/越川組。国内初ペアリングながらも、準決勝では村上斉(ADI.G)/倉坂正人(三菱オートリース)組をフルセット2-1(16-21,26-24,12-15)で下した。
越川は「白鳥さんがすごく細かくアドバイスをくれるし、自分の動きに合わせてくれるので自分のやることも絞られたし、やりやすかった。プレーの幅が広いと感じた」とベテランとの戦いを振り返った。

女子は石坪聖野(アットホーム)/柴麻美(帝国データバンク)組が、坂口佳穂(マイナビ/KBSC)/鈴木悠佳子(湘南ベルマーレ)組を破り、第1回大会の優勝者に名を刻んだ。


大会を締めくくった表彰式

秋の夕暮れの中、行われた表彰式。実行委員会が選ぶ大会MVPには、優勝した西村が選出された。「ずっと頭の中に描いていたビーチバレーボールのイベントを清水で開催できて、優勝もできて、MVPも受賞できたことはこの上ない幸せ。大会前は不安だったけれど、たくさんの方に来場いただけたことはうれしい。ビーチバレーボールは見てもらえれば、面白さがわかるスポーツ。ビーチバレーボールの価値を伝えていくうえで、この大会は第1歩を踏み出せたと思う」と、西村は今後に視線を向けた。

結果詳細