沖縄男子が3連覇達成。東京が2大会ぶり2度目の優勝。鹿児島国体ビーチバレーボール種目。

沖縄男子が3連覇達成。東京が2大会ぶり2度目の優勝。鹿児島国体ビーチバレーボール種目。

本来は2020年に開催が予定され、新型コロナウイルス感染拡大防止のため延期となっていた特別国民体育大会「燃ゆる感動 かごしま国体」バレーボール競技会ビーチバレーボール種目が9月16日(金)から19日(祝・月)、鹿児島県大崎町ビーチスポーツ専用競技場で開催された。

 

 ビーチバレーボールコート8面を設営できる広さを持つ大崎町ビーチスポーツ専用競技場は、およそ20年前に創設されたビーチスポーツ専用コート。町おこしにもつながっている競技場で全国47都道府県男女チームが一挙集結した。

 大会初日から会場を大いに盛り上げたのは、地元の鹿児島勢だった。ジュニア選手権で3位入賞を果たしていた鹿児島男子の濱本蓮斗/宮田修平(ともに鹿屋高)組は、青森とフルセットの激闘を繰り広げ、接戦の末敗れた。
 目に涙と悔しさをにじませた濱本は、「ビーチバレーボールは普通のバレーボールとは違う面白さや奥深さがある。いろんな人にやってほしいし、もっと盛んになってほしい。自分は大学でも続ける予定なので、悔しさをバネに強くなって大学で活躍したい」と次なる目標に視線を向けた。

開催地鹿児島男子

鹿児島女子の折尾萌/末吉紀咲(ともに指宿商業高)組は、秋田、山梨に勝利し、3回戦進出を果たした。3回戦では地元の大声援を受け、ベスト4入りを果たした三重相手に第1セットを先取。第2セット以降は流れを持っていかれたが、最後まで堂々の戦いぶりを見せた。試合後、折尾と末吉は、この経験を仲間に伝えいきたいと話した。

「攻撃のパターンや技術などバレーボールにつながる点が多いと思う。2人しかいないからメンタル面でも成長できた」と折尾。末吉も「これまでは追いつめられた時に立て直せなかったけれど、ビーチでは劣勢から改善していく力を身につけることができた。今後につなげていきたい」と力強く語った。

開催地鹿児島女子

 9月半ばとは思えない猛暑日に見舞われた4日間。都道府県代表として大舞台で戦うプレッシャーや暑さに負けず、男子において決勝戦まで勝ち上がってきたのは、沖縄の﨑山翔生(首里高)/田崎憲斗(西原高)と京都の吉田海斗/草開幹(ともに洛南高)組だった。

 

 沖縄は、台風上陸の影響でジュニア選手権を欠場し、今大会が初の全国大会。その力は未知数であったが、福島、愛知、東京、兵庫など強豪チームがそろう激戦ブロックを勝ち抜いてきた。「ジュニア選手権で優勝した東京との試合が一番苦しかった。試合前からいろんなことを話し合って作戦を考えていた」と﨑山翔生。セットカウント1-1と並び、最終セット終盤でも東京にリードされていたが、追いつめられるほど沖縄の精度の高いプレーが光った。

激戦ブロックを勝ち抜いた沖縄県

 波に乗った沖縄は、準決勝でバレーボールの全国大会において名門中の名門と言える鎮西高に属する池田大心/山下聖斗組の熊本と対戦。強打の打ち合いとなるが、見ごたえのあるパワー勝負を制し、決勝戦へ駒を進めた。

 決勝戦の相手は、ジュニア選手権で準優勝し1ヵ月前よりもはるかに攻守のレベルアップを果たした京都だ。武器であるスピードと粘りを発揮し、京都は沖縄に先攻されても第2セットを奪い返す。第3セットは両者一歩も引かない展開が繰り広げられるが、「試合中に歴代の先輩たちが送ってくれた応援メッセージを思い出し、絶対にいけると思っていた。パートナーの声かけを信じて落ち着いてプレーすることができた」と田崎憲斗。マッチポイントが近づくにつれ気迫あふれるプレーで京都を引き離し、勝負を決めた。

 これで沖縄は茨城国体、栃木国体に続いて3連覇を達成。﨑山/田崎組は、苦しい戦いを乗り越えて王者の歴史をつないだ。

男子優勝の沖縄県

準優勝の京都府

 

 女子決勝は、鳥取、徳島の大型チームを打ち破り、決勝進出を果たした東京の宇都木乃愛/森愛唯(ともに共栄学園高)組と、昨年の栃木国体で3位入賞を果たし今年は準決勝の壁を乗り越えた千葉の松崎伊吹/伊藤珠希(ともに市立柏高)組が対戦した。

 東京はマドンナカップでも優勝候補としてあげられていたが、準々決勝の鳥取戦で敗退。「あそこで負けてから、攻撃のバリエーションを増やそうと思って練習してきた」と森が話すように強打だけではなく、相手のコートの穴を積極的にショットで攻める技術力をつけ、鳥取にリベンジを果たした。準決勝ではマドンナカップ優勝の徳島を撃破し、盤石の状態で決勝を迎えた。

女子決勝戦の様子

 第1セットはその東京が強さを見せつける。しかし、第2セット以降、千葉も自分たちの強みであるサーブを起点に反撃を開始。「マドンナカップのときは劣勢になると視野が狭くなってしまっていたけど、いろんなところに注視して意識するように心がけてきた」と伊藤。そんな練習の成果を今大会発揮してきた千葉は、決勝でもフルセットゲームに持ち込む。

 終盤まで一進一退の攻防戦が続くが、東京がサーブポイントから流れを引き寄せ、一気に勝負をつけた。

 

 喜びを爆発させた東京。宇都木は、「高橋監督からは歴代で一番練習してきたと言っていたので、自信を持って臨んだ。全国優勝は初めてなのでまだ実感が沸かない。明日も試合がある感覚です」とビーチバレーボールへの熱中ぶりを語った。東京は、茨城国体以来の2度目の優勝。マドンナカップの雪辱を晴らし、頂点に立った。

女子優勝の東京都

準優勝の千葉県

 

日本一を目指した高校生たちの笑顔と涙が刻まれた大崎町ビーチスポーツ専用競技場。「燃ゆる感動 鹿児島国体」は、その熱気が冷めやらぬまま幕を閉じた。