後半戦注目の柴/丸山組。「この景色をずっと見ていたい」

後半戦注目の柴/丸山組。「この景色をずっと見ていたい」

2023シーズン、ベテランの強さが際立つ中で、マイナビジャパンツアー初優勝をこの手に掴んだ選手がいる。その選手とは、昨年、V1リーグからビーチに舞台を移した丸山紗希(マーチオークシー)だ。

 

転向イヤーは、マイナビジャパンツアーに一度本戦出場し9位だったが、今年は柴麻美(帝国データバンク)とペアを結成。第6戦都城大会第24回ビーチバレー霧島酒造オープンでは、初の決勝戦に進出。オーストラリアのPhoebe Bell/Caitlin Bettenay組を撃破し、初優勝の座を手にした。

 

 柴/丸山組は、続く第7戦名古屋大会でも2大会連続で決勝進出。決勝戦では、長谷川暁子(NTTコムウェア)/坂口由里香(トーヨーメタル)組に0-2(19-21,11-21)と力尽きたものの、マイナビポイントは一気に3位(9月10日時点)まで上昇。初のマイナビワールドチャレンジ賞獲得も夢ではないところまできている。


▲チーム初優勝を決めた柴/丸山組

 柴/丸山組の強みは、場面を問わずにトリッキーな戦術スタイル。一瞬で、パス、トスを鋭い凶器に様変わりさせる。相手の意表をついてリズムを崩し、試合の流れをたぐり寄せていく。

 今年で10年目を迎える柴と、まだ2年目の丸山。経験値に差はあるものの、V1リーグのKUROBEアクアフェアリーズで主将まで務めたトッププレーヤーは、砂の上でもスピード感溢れる動きで順応している。

そんな丸山に対し、柴は「最初は一緒に合宿するところから始まり、そのときに組んでみたいと魅力を感じた。紗希さんにはいろいろ求めてしまうけれど、それに随時対応してくれる。試合を重なるごとによくなっている」と、成長を感じている。


▲転向2年目と思えない動きを見せる丸山

 8月下旬には、Beach Pro Tour 2023 FUTUREソウル大会で3位となり、国際大会でチーム初の銅メダルを獲得。そこから前述したように柴/丸山組は、マイナビジャパンツアー第6戦、第7戦でも結果を残し、3週続けて表彰台に上がった。

ビーチバレーボールの国内最高峰の舞台から見た景色。丸山は「少しずつ決勝の雰囲気にも慣れてきた。お客さんがたくさんいるとパフォーマンスが上がるタイプなので、その前で試合ができるのはうれしい。ずっとこの景色を見ていたい」と、喜びを噛みしめていた。

年間チャンピオンの座も見え隠れし始めた柴/丸山組。2人が掲げている目標は、清々しいほどきっぱりと明確だ。
「ひたすら勝ち続けて上を目指すこと。『日本代表に入りたい』という気持ちが先行するのではなく、勝ち続けていれば、必然的に日本の代表にもなれる。負ければ入れない。『思考』をもっとレベルアップさせて、上を目指したい」(柴)


▲今年10年目、司令塔の柴

 目標に向かって邁進していくためには、まだまだ課題も残されている。
 丸山は、「強いチームは接戦になったときもプレーの精度が高いし、いいプレーをしてくる。自分は、勝負所で決め切る力が足りない。正面からぶつかってパワーで勝負しても決まらないので、コートの空いているところをしっかり見てもっと工夫していきたい」。
 決して気を緩めることなく、次の戦いに視線を向けた。

柴/丸山組が今シーズン最後に見る景色は、どんな景色が目の前に広がっているのか。シーズン後半戦に向けて目が離せない。