松本恋/松本穏組、初優勝。 「第34回ビーチバレージャパンレディース」

松本恋/松本穏組、初優勝。 「第34回ビーチバレージャパンレディース」

真夏の女王決定戦となる「第34回全日本ビーチバレーボール女子選手権大会(ビーチバレージャパンレディース2023)」が8月18日(金)から20日(日)、大阪府泉南郡岬町・せんなん里海公園にて開催された。

猛暑の大阪

今年の日本女子チャンピオンを決める大会は、全国32都府県からの代表39チームに加え、日本バレーボール協会の推薦6チーム、高校代表、大学代表が参加し、1日目は予選グループ戦、2、3日目は決勝トーナメントが行われた。

気温35℃を超える猛暑日に最大3試合ある過酷なレギュレーションを乗り越え、決勝戦まで勝ち上がってきたのは、第1シードの松本恋(フリー)/松本穏(フリー)組と、大学代表の伊藤桜(産業能率大)/野口彩陽(産業能率大)組だった。

 

 伊藤/野口組は、準々決勝の柴麻美(帝国データバンク)/丸山紗季(マーチオークシー)組との戦いで、2-1(21-14,14-21,24-22)と逆転勝利を収め、プロチームを破る金星をあげた。
 準決勝では、村上めぐみ(立飛ホールディングス)/藤井桜子(立飛ホールディングス)組に勝利した衣笠乃愛(明海大)/菊地真結(明海大)組と対戦。ビーチインカレ決勝以来、再び顔を合わせた両チームの戦いは、伊藤/野口組が2-0(21-13,21-14)で制し、大学生代表として史上初の決勝進出を決めた。

快進撃を見せた明海大学の左から菊地/衣笠

 正午過ぎから始まった決勝戦。両チームともに準決勝まで鳴りを潜めてきた強打の打ち合いになった。「レン・ノンさんは、ディフェンスのかたちを作るのが速いし、ツーブロックを仕掛けてきたり、いつもと違う戦い方をしてきたので、トスに高さを出して振っていこうと思った」と伊藤。「相手によってフェイクして下がるタイミングを変えるようにしている」という松本(恋)/松本(穏)組のディフェンス網を突破し、伊藤/野口組はプロチームに一進一退の攻防を展開していく。

スパイクを打つ松本穏

 第1セットを21-19と松本(恋)/松本(穏組、第2セットを26-24と伊藤/野口組とそれぞれセットを奪い合う。「ミスで得点が入るのではなく、互いに持っている力を出し切れた試合だった」と松本(穏)が振り返るように、どちらがとってもおかしくない好ゲーム。勝負がつく最終セットも、終盤まで両者一歩も譲らない戦いとなるが、「我慢できなかった。ちょっとのミスの差だったと思う」と伊藤。最後の最後で松本(恋)/松本(穏)組が逃げ切り、15-13と初優勝を手にした。

悔しい表情を見せる伊藤

松本(恋)/松本(穏)組は、2018年にジャパンレディースの愛知県予選に初出場。昨年はベスト8で終わったが、「ビーチを本格的に始める前に出場した大会がジャパンレディースの県予選だった。そのとき、レベルの高い大会だと思ったしここで勝つために積み重ねてきたので、優勝できて本当にうれしい」と松本(恋)は喜びを噛みしめた。

激闘の末、勝利を収めた松本/松本組

 決勝戦では切れ味の鋭いスパイクを打ち込んでいた松本(穏)は、「少し前まで練習でやってきたことが試合でできなくて悩んでいた時期もあった。今日はコートもよく見えて、恋もコールをしてくれたので、お互いを信じ合い、自分たちで掴んだ勝利だと思う」と心情を打ち明けた。

コーチであり、父でもある健一氏と優勝の喜びを分かち合う穏

1990年から始まった「ビーチバレージャパンレディース」。3位には衣笠/菊地組もランクインし、34回の古き歴史の中で大学生ペアが表彰台に上ったのは7年ぶり。2チーム同時は初めてのことだ。
 若い力は確実に育っている。それぞれのプライドをかけて戦い抜いた47チームによる女王決定戦は、新たな女王の誕生で幕を閉じた。