石井/村上組、史上初の銅メダルを獲得。「FIVBワールドツアー東京大会」最終日。

石井/村上組、史上初の銅メダルを獲得。
「FIVBワールドツアー東京大会」最終日。

「FIVBワールドツアー東京大会」最終日が7月29日(日)、THE ODAIBA内ビーチバレーボール特設コート(東京都江東区青海臨時駐車場P区画)で開催された。28日(土)には台風接近により女子準々決勝が延期。そんな中、勝ち進んだ石井美樹(湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(オーイング)組が、3位決定戦で勝利し、銅メダルを獲得した。

ビーチバレーボールが上陸しておよそ30年。石井美樹(湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(オーイング)組が獲得した銅メダルは、日本で開催されたワールドツアーで初のメダルとなった。
また、2017シーズンから始まった5starのカテゴリーに区分けされたワールドツアーにおいて、3star以上で表彰台に上がったのも初めてだった。

朝から時々雨が降りつけたものの、昼からは猛暑に見舞われた中で、石井/村上組は朝8時30分から準々決勝に挑んだ。
「今大会は点数をとりにいきたい時に何を仕掛けられるかをテーマにしている。点数を取りたい時に思い切ってできたのが勝因だと思う」と村上が振り返ったように、相手を引き離したい場面で得意のスピードサーブが機能する。


初のメダルを獲得した村上/石井組

シーズン中盤にきてランキングを上げているフィンランドのRiikka Lehtonen/Niina Ahtiainen組の攻撃を拾い、村上が正確でスピードの乗ったポーキーショットで高いブロックをかわしていく。危なげない試合展開で、石井/村上組はベスト4入りを果たした。

続く3位決定戦は、本戦2回戦で二見梓(東レエンジニアリング)/長谷川暁子(NTTコムウェア)組が屈したドイツのTeresa Mersmann /XCinja Tillmann 組だった。

序盤はフィンランド戦同様、ドイツの高さに負けない接戦を繰り広げた石井/村上組だったが、「ブロックが高いといつ手が出てくるかを考えてしまうので、攻撃に影響は出てしまう」と村上。浮いたポーキーショットを相手に拾われ、ワン返しで切り返され始めると途端にリズムを失い、第1セットを19-21と落としてしまう。第2セットも村上のレセプションが乱れて主導権を握られると、18-21とストレートで敗れた。

昼過ぎから36℃まで気温が上昇する中、石井/村上組は14時からの3位決定戦へまわることになった。相手は、ノルウェーのIngrid Lunde Oda/Johanne Ulveseth組だった。

試合序盤、ノルウェーのサーブが石井/村上組が襲う。0-6と得点と引き離されたが、風下側から最大の武器であるサーブが走り、相手のミスを誘い始める。ブレイクポイントを重ねる中、「どんなタイミングで使うか考えて、ものすごく練習している」というセットのテンポを速めて攻撃の位置をずらしていく移動攻撃も機能。逆転に成功した石井/村上組は第1セットを21-18で先取した。

第2セットはお互い一歩も譲らない展開。しかし、13-13となったところで、ノルウェーがインジュリータイムをとり試合は再開されたものの、足が止まった状態に。その隙を見逃さなかった石井/村上組は長いラリーを取り切るなど得点を重ね、21-17と取り、ストレートで決着をつけた。


今大会、課題を克服した村上/石井組

今大会、出場した日本チームは、男子9チーム、女子7チーム。その中で敗因として多くあげられていたのは、「対応が遅れてしまった」「修正できなかった」という言葉だった。

石井/村上組もその例に漏れない。3位決定戦のように0-6と引き離されたり、勝っていて追いつかれて劣勢に追い込まれる時もある。しかし、そんな場面を修復し、日本チームの中で勝ち進んできたのは石井/村上組だけだった。村上は言う。
「そういう状態になった時は固まりそうになるけど(笑)、スイスの5star大会では2人で話し合いながら試合をしていったことでベスト8に入れた。その経験があったので、今大会もパートナーに言葉をもらったり、自分が思いついたことを言ったり、それを大事にしていた」。

どうしても相手チームから集中的に狙われる村上を支える石井も、それに同調する。
「今までは負け始めると2人で落ち込んで、何も言わないこともあったけれど、スイスの経験で劣勢でも勝っていけることを経験できた。だから、しつこいくらいでもパートナーが余裕を持てるように声をかけていくことが課題だった」。


女子表彰式

2人で組み立てた戦術をしっかり実行できること以外にも、世界への対応策として印象的だったのは、石井が「高さを消す」と表現する移動攻撃だ。他の日本チームも移動攻撃を仕掛けるチームは多いが、ことごとく決定打を欠いた。だが、石井/村上組のコンビネーションは、打つ位置やセットの高さなどバリエーションも多く、相手の状況を見てラリー中でもその都度タイミングを変え仕掛けていった攻撃は有効的だった。

そんな石井/村上組にとって、3starの銅メダルは「妥当な結果」だと口をそろえる。

「強豪チームがあまり来日していなかったし、自分たちはそう思っている。もっと上のチームには簡単にサーブがとられるし、このくらいの高さは驚くほどではない。自分たちが最終日に残らないと大会自体も盛り上がりにかけると思っていたし、いかに持っている力を出し切れるか、勝負だった」(村上)と、戦いを振り返った。