世界大学選手権がいよいよ開幕 直前合宿レポート

世界大学選手権がいよいよ開幕 直前合宿レポート

2018年以来、4年ぶりに開催される世界大学選手権へ日本の若者たちが挑む。9月6日(火)よりマセイオ(ブラジル)で始まる同大会を前に、川崎マリエンビーチバレーボールコート(神奈川県川崎市)にて8月15日(月)から31日(水)まで行われた直前合宿で、選手、強化スタッフに大会への意気込みや合宿の成果を聞いた。

ビーチバレーボール強化委員会により選出された派遣選手、男女各4名が合宿に参加。9月14日(水)より始まるU19世界選手権も近いため、U19日本代表の竜神輝季(駿台学園高)、黒澤孝太(明治大)[黒澤は世界大学選手権日本代表選手も兼ねる]の合宿も併せて行われていた。男女とも、世界大学選手権における日本の過去最高成績である5位を超えるべく、練習に取り組んでいた。

外部コーチを招いての合宿

今回の合宿は従来と大きく違う点があった。それは、外部コーチを招いたことだ。その理由について強化委員でジュニアカテゴリーのスタッフも務める白鳥歩氏に聞いた。「二つの理由があります。一つ目は日本代表の価値を高めるために、ここでしか得られない経験をしてもらいたかったからです。そこで、今年は東京2020オリンピックに選手として出場した白鳥勝浩さんと、コーチを務めた濵口純一さんの経験を伝えてもらうためにお願いしました。二つ目は協会の強化スタッフ以外のコーチにも、アンダーエイジカテゴリーの状況を知ってもらうためです。これまでは、アンダーエイジカテゴリーがどのように活動をしているか、知ってもらう機会がありませんでした。外部コーチに参加してもらうことで、協会がどのようなビジョンを持って取り組んでいるか知ってもらうことにもつながります」

また練習では、選手にとって国内最高峰ツアーのコーチ、選手による細かい技術指導や、練習の雰囲気作りへの影響は大きかった様子。

コーチたちが実演を交えて指導していた

例えば男子の安達龍一(慶應義塾大)は「ブロックするときの指の力の入れ方など、今までの自分にはない考え方で、わかりやすく教えてもらえました。もっと長い時間いろいろなことを教えてもらいたいです」と話し、女子の福田鈴菜(日本体育大)は「自分では気づけないクセを指摘してもらったり、考えてプレーする機会を多く作ってもらえるので、自信になります」とコメント。コーチ陣の指導が大きな後押しとなっているようだ。

濵口コーチは「合宿のような短期間では技術を大きく上達させることは難しいので、選手たちの強みを引き出せるように意識しています。今後、日本のビーチバレーボール界を引っ張っていく選手たちだと思うので、日本人の武器であるサーブレシーブ、トスなど基礎的なところをしっかり固めてもらいたいです」と期待を語った。

また白鳥コーチは「今回選出された選手たちは、インドアでのプレー経験も豊富ですが、インドアの技術をそのままビーチでも使ってほしいです。自分もビーチバレーボールを初めて見たときに衝撃を受けた、ショットなどのビーチ特有の技術を使いたいと思うのですが、今はまだ『強く高く跳ぶ』とか『強くボールを叩く』ことが大切です。バレーボールの技術を高めながら、ビーチバレーボールをやってほしいと思います」と自身の経験も踏まえて話した。

続いて世界大学選手権日本代表選手のコメントをチームごとに紹介する。

(写真左から)上田、福嶋、安達、黒澤

<男子チーム①>

福嶋晃介(ふくしま・こうすけ)/身長190cm/NTTコムウェア

上田翔貴(うえだ・しょうき)/身長190cm/駒澤大4年

福嶋「海外で試合をするのは初めてなので、今までやってきた自分のプレーがどこまで通用するのか、いろいろなプレーを試していきたいです。僕のトスがよければ上田が決めてくれると思うので、頑張りたいです」

上田「私も世界と戦うのは初めてなので、自分のレベルがどこなのか、どれだけ通用するのか確かめたいです。福嶋さんのサーブとパワーのある強打は武器なので楽しみです」

<男子チーム②>

安達龍一(あだち・りゅういち)/身長198cm/慶應義塾大4年

黒澤孝太(くろさわ・こうた)/身長191cm/明治大1年

安達「まだ黒澤と合わせている時間も少ないですが、いま自分ができるいちばんいいパフォーマンスを発揮できるために調整していきたいです。黒澤はプレーに高さと安定感があるので、そういうところを自分のトスで、引き出したいです」

黒澤「初めてレシーバーに挑戦するので、不安もありますが、できる限りの泥臭いプレーをしていきたいです。安達さんは高さがあり、ブロックなどいろいろな場面で助けられています」

 

(写真左から)菊地、衣笠、福田、川崎

<女子チーム①>

川崎菜々子(かわさき・ななこ)/身長172cm/日本体育大4年

福田鈴菜(ふくだ・すずな)/身長163cm/日本体育大3年

川崎「身長が高い海外の選手に上から打たれる状況を少なくするためにも、サーブで攻めて、サービスエースを取りにいきたいです。すず(福田)は走るのが速く、どんなボールでも振り返ると上げてくれる日本一のレシーバーです」

福田「身長は低いですが、どれだけ自分のプレーが通用するのか試して、これからの競技人生に生かせることを得たいと思います。川崎さんはスパイクを決めてくれる安心感があって、ここいちばんというときに頑張らせてくれる頼りになる存在です」

<女子チーム②>

衣笠乃愛(きぬがさ・のあ)/身長163cm/明海大3年

菊地真結(きくち・まゆ)/身長167cm/明海大3年

衣笠「日本チームの目標である5位以上に入れるように、私たちの武器である速攻を使っていきたいです。菊地さんは想像していないところにボールを打つような、意表をつくプレーがうまいです」

菊地「5位以上を目指すなかで、自分たちらしいプレーができるように頑張りたいです。衣笠さんは強打もカットショットも打てるなど、スパイクのバリエーションがあって頼りになります」

各チームはいよいよ現地時間の6日(火)明日から本大会に臨む。日本の裏側、ブラジルの地で今後の日本ビーチバレーボール界の将来を担う選手たちが、どのような経験を得て成長していくのか楽しみだ。

 

◇大会概要

【大会名称】

2022FISUビーチバレーボール世界大学選手権

【開催期間】

2022年9月6日(火)~10日(土)

【開催地】

マセイオ(ブラジル)

【出場資格】

①1997年1月1日から2004年12月31日までに生まれた選手であること

②大学/大学院に在学中、もしくは今年/前年に卒業した選手(日本の大学・大学院の場合は文部科学省管轄に限る)

【競技方法】

第1フェーズでは、出場32チームが4チームずつ8つのプールに分かれ、プール1回総当たり戦を行う。各プール上位3チーム(計24チーム)が第2フェーズ(トーナメント戦)に進む。各プール最下位(計8チーム)は、25-32位決定戦に回る。