石島/高橋組、2勝目。西堀/草野組、初優勝。「ジャパンツアー第5戦行橋大会」最終日。

石島/高橋組、2勝目。西堀/草野組、初優勝。
「ジャパンツアー第5戦行橋大会」最終日。

国内最高峰ツアーの5戦目となる「ジャパンビーチバレーボールツアー2018第5戦行橋大会」最終日が7月16日(祝・月)、福岡県行橋市の長井浜海水浴場で開催された。

今回の女子大会は、スイスで開催されたグシュタードメジャー(5star)に出場していた石井美樹(湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(オーイング)組、二見梓(東レエンジニアリング)/長谷川暁子(NTTコムウェア)組、溝江明香(トヨタ自動車)/橋本涼加(トヨタ自動車)組が不出場となった女子大会。ベスト4には、その3チームを追いかけ、ワールドツアーの1star、2starを転戦しているチームたちが顔をそろえた。


女子決勝戦

女子決勝は、第1シードの西堀健実(トヨタ自動車)/草野歩(パソナ)組と鈴木千代(クロス・ヘッド)/村上礼華(松山東雲女子大学)組の対決となった。今シーズンは、ワールドツアーシンガポールのプール戦、決勝戦、前回の南あわじ大会準決勝と3戦交えて西堀/草野組が2勝1敗とリード。今大会、ベテラン対若手の対決、どちらに軍配があがるか、注目された。

第1セットから高さとパワーで押していく西堀/草野組に対し、テンポの速いバレーを武器にする鈴木/村上組が5-2と主導権を握る。
しかし、「今大会は自分たちの持ち味であるサーブがテーマだった。決めることができて自信になった」という草野のジャンプサーブが鋭く鈴木/村上組のコートに突き刺さる。13-11と主導権を握り返した後は、鈴木のツーアタックミスも響き、西堀/草野組が21-15と第1セットを先取した。

第2セットも、西堀/草野組が優勢でスタート。鈴木/村上組はなんとかリズムを引き寄せようとコートの隅々を狙って攻撃を仕掛けていくが、決定率が上らない。鈴木のジャンプサーブ、村上のブロックでデュースに持ち込むが、25-23で西堀/村上組がストレートで決着をつけた。


村上のブロック

今シーズンツアー参戦2戦目で初優勝を飾った西堀/草野組。西堀と草野は優勝インタビューで、「私たちはよくベテランと言われるけど、常にトライすることは忘れていない。ベテランがこれからも力をつけていく姿を見てほしい」と、語った。

ワールドツアーシンガポール大会の決勝では勝利したものの、西堀/草野組に対し2敗を喫した鈴木/村上組。村上が「世界大学選手権」から帰国直後とあって、過密スケジュールもあったが、敗因は別だと鈴木は考えている。

「パートナーに疲労があったので、私がサーブやツーアタックで積極的にカバーしていこうと思ったが、機能しなかった。国際大会の公式球とツアーの公式球が異なっていたこともあり、うまくインパクトできなかった。ツアーの公認球はアウトになっているつもりはないのに、アウトなってしまったりして、勝負所で助けてあげることができなかった」と課題を述べた。


今シーズン2勝目をあげた高橋

男子は準決勝で、ともに初のベスト4となった畑辺純希(ウィンコーポレーション/島田桃大(CTカンガッソ)組、土屋宝士(オーイング)/道木優輝(SAND)組を倒した髙橋巧(フリー)/石島雄介(トヨタ自動車)組、準優勝の村上斉(ADI.G)/倉坂正人(三菱オートリース)組が、前回の南あわじ大会に続いて決勝進出を決めた。

2大会連続で同じカードとなった決勝戦。第1セットは、高橋のジャンプサーブと石島のフェイクからのディフェンス、正確なボールコントロールによるオーバーハンドディグが際立ち、石島/高橋組が先取。21-14と圧勝し、死角のない強さを見せつけた。

第2セット。追い込まれた村上/倉坂組は、サーブの狙いを高橋から石島に変えた。すると、それまでスムーズだった石島/高橋組の得点の歩みが止まり始める。「狙いを変えられたことで非常に苦しかった。新しい課題が生まれた」と石島が振り返ったように、終盤、村上/倉坂組に猛追をかけられる。

ここでなんとか逆転を狙った村上/倉坂組だが、「もう少し早い段階で仕掛けておけばよかったと思った」と村上。終盤、さらに高さを増した石島のブロックに阻まれ、石島/高橋組は21-18とストレートで勝利。今シーズン2勝目をあげた。

男子は、第2戦、第3戦優勝の長谷川徳海(愛媛県競技力向上対策本部)/清水啓輔(ひまわり福祉会)組がケガのため不出場していたものの、確実に勝利をモノにした石島/高橋組。ジャパンツアーにおいては、出場した大会ですべて決勝進出。ペアを結成して1シーズン目だが、その風格は日本のビーチバレーボール史が始まってから君臨してきた「絶対王者」たちを彷彿させる。

1990年代後半では尾崎侯(現トヨタ自動車コーチ)/山本知寿(現トヨタ自動車監督)組、尾崎侯/森川太地組、2000年前半の渡辺聡(プロコーチ)/白鳥勝浩(現トヨタ自動車)組、2000年後半から2012年までに活躍した白鳥勝浩/朝日健太郎(現参議院議員)組。いつの時代も「打倒」すべき、王者が存在していた。しかし、2013年以降、「絶対王者」不在の時代が続いた。

そんな中、東京オリンピックを前に「絶対王者」の片りんを見せたのが、石島/高橋組だ。プール戦で対戦したベテランレシーバーの井上真弥も「間違いなく世界クラスの選手」と言う。2シーズン目を迎えた石島の成長と比例するように挑戦者たちが必死に攻略法を模索する中、今大会でも勝利をもぎ取った。


2大会連続、準優勝の村上/倉坂組

村上は言う。「石島/高橋組にも死角はある。自分たちは高さを削るような作戦を仕掛けていくことが生命線」と。

8月初旬の「ジャパンツアー第7戦若狭おばま大会」では9月に行われる「アジア選手権」の選考会も兼ねるため、トップチームが出揃う予定。石島/高橋組の牙城を倒すチームは現れるのか。今後の展開から目が離せない。