石島雄介×高橋巧ペア対談 「対戦したら厄介」という印象。 世界で自信を積み重ねていきたい

石島雄介×高橋巧ペア対談
「対戦したら厄介」という印象。
世界で自信を積み重ねていきたい

ペア結成1年目ながら、JVAカップやジャパンツアー第2戦東京大会で破竹の勢いでトップ3にランクインした石島雄介(トヨタ自動車)/高橋巧(了徳寺大学)組。互いのいいところをコートで表現し、存在感を示している2人は、どんなことを意識してパートナー関係を作っているのか。2人の素顔に迫った。

──まず、ペアを組んだきっかけを教えてください。

高橋:石島さんは日本にはなかなかいない大型ブロッカーだし、「世界と戦う」という目標が同じだったので、僕のほうから「組みませんか?」と言いました。

石島:それでワールドツアー、オランダのハーグ大会に出場したんだよね。高橋から声をかけてもらったときは、うれしかったですね。日本一の選手に誘ってもらって光栄でした。ただ、最初は迷いました。僕は去年、庄司君(憲右選手)とペアを組んでいたんですけど、長い目で見て、お互いに意見を言い合って、理解を深めてチームを作っていきたかったので、1年でペアを解消してしまっていいのかという迷いがあって…。ただ海外での合宿のことを考えたり、巧が日本一を経験している選手であるという実績を考えて…。勝ち方を知っている選手ってなかなかいないじゃないですか。そういう選手とペアを組んでみたいと思っていたのも事実なので、誘いを受けました。

──実際にペアを組むようになって、お互いの印象は変わりましたか?

高橋:「ワーワー大きな声を出してプレーする選手だなぁ」という印象だったんですけど(笑)。組んでみると、メッチャいろいろ考えていて、感覚も鋭いし理論的な選手だと感じています。

石島:巧は、出た試合にはいつも勝っている印象。経験は申し分ないし、強打も打てるので、試合を見ていて「対戦したら厄介だな」と思っていた。その印象は昨年も、ペアを組んだ今も変わらないですね。

 


ジャパンツアー第2戦東京大会では準優勝だった石島/高橋組

 

──お2人が考えるビーチバレーボールにとってのペアとはどんなものですか?

高橋:さっきゴッツさんが言ったんですけど「作っていく」という表現は、まさにその通りだと思います。とはいえペアだけじゃなくてチームスタッフの存在の大きさもコートの中では生きると僕は思っているので、チームを代表してコートに立つのがペア。決して2人だけじゃないという感覚です。

石島:相手の考えを尊重しつつ、かつ自分の考えを相手に伝えて、両者のいいところをミックスさせる。いくら僕が「こうしたい」とか、巧が「ああいう感じにしたい」って言い合っても実際に成功体験を作らないと納得もできないだろうから。成功体験を積み重ねて、選択肢を増やしていくペアが理想です。

高橋:あとは同じ考え方やプレースタイル同士のペアだと、変に小さくまとまってしまうと思うので。違う部分を持っているからこそ、それぞれの武器が光って、チームとして戦えると思っています。

石島:違うという意味では、僕は感情がカッとなりがちなんですけど、「まだまだ行けるから」って巧が声をかけてくれることが多くて助かりますね。AVCアジアツアーのベスト4の試合も、3セット目の序盤、大差でリードされていて「これはちょっと厳しいかな」という展開だったんです。そんなときに巧が「ここから行きましょう」と声をかけてくれて。実際、終盤、相手を追いつめるところまで行けた展開になった。そういう声かけも、キャリアがあってこそだなと思った。

高橋:何を言ったのかあまり覚えてないんですけど(笑)。

石島:そうなの?(笑)巧は周囲の人から「リーダーとして引っ張っていけ」と言われることが多いんですよね。レシーバーの人は特に、後ろから試合を見るし、ゲームメイクもするし、ただ、じゃあ人から言われて簡単にできるかって言うと、なかなかできない。ああいうタイミングで自分から声をかけられるっていうのは、巧の経験の差だと思う。

高橋:そこで言えるようになったのはひとつ、自分でも成長しているのかなって思います。

 


トップランカーの白鳥/上場組に初勝利をあげた

 

──では最後に、世界で勝つために必要なことはなんだと思いますか?

高橋:自分個人としては、まだまだフィジカルが弱いと思っていて毎日、向上させたいと考えていますね。技術はもちろんですが、フィジカルを鍛えて、海外の選手と対等になりたいです。その上で、練習や試合の中で新しい感覚を毎日、養っていけば世界と戦えると思います。

石島:僕は今年、2ヵ月間ブラジル合宿に行けたことが大きかったですね。ひとつは合宿で、練習量が今までの1.5倍はあったし、ブラジルに行ったことで、動画サイトでしか見たことがないような世界のトップ選手と練習試合ができて、1セット取れた。公式戦となったらどうかわからないけど、世界が近く感じた瞬間もありました。練習量が増えたことでタフさも出てきたし、試合でもバテなくなって、プラスになったと思う。だからアジアツアーに行っても、「あのブラジルでゲームをした選手のほうが実力は上だ」と前向きに考えられるようになった。練習ゲームの内容を思い返して「これくらいのレベルの試合はできる」という確信が持てた。その力が安定して出せるようになれば、もっと自信を持ってプレーできると思う。

高橋:そうですね。そうやって今後も自信を積み重ねていければいいなと思います。