東京2020の切符を懸けた戦い 男子大会展望

東京2020の切符を懸けた戦い 男子大会展望

東京2020のビーチバレーボール競技に出場する開催国代表の座を争う「東京2020ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦」の男子立川立飛大会が6月5日(土)、6日(日)に東京都立川市のTACHIHI BEACHで開催される。

先日行われた女子と同様、本大会には6チームが出場し、まず第3〜第6シードの4チームが5日(土)に1回戦を行う。それぞれの勝利チームは第1・第2シードとの2回戦に進出し、1、2回戦で敗れたチームは敗者復活戦へまわり、一度負けても準決勝進出の芽が残る変則ダブルエリミネーション方式が採用されている。

当初、男子大会は5月22日(土)、23日(日)は大阪市北区のグランフロント大阪うめきた広場にて開催される予定だったが、開催地の状況や大会開催における新型コロナウイルス感染拡大のリスクを考慮した結果、日時と場所が変更となった。この2週間は、戦いに影響するのだろうか。大会を占ってみよう。

新たに会場となったのは、2019年からマイナビジャパンツアーの舞台としてすっかり定着したTACHIHI BEACH。出場する6チームの中で、このビーチをホームにしているチームはない。また女子大会は屋内コートだったが、こちらは屋外であるため、天候によって風の状況や砂の質は変化を伴うだろう。

日本バレーボール協会ビーチバレーボール強化委員長の川合庶氏は、「男子は近年、国内大会で勝ち上がってきているシード上位2チームが有力ではないか」と勢力図を分析している。その1チーム目は20195月にペアを結成して20215月までの間、出場したすべてのツアーで決勝に進出し86勝という成績を残している石島雄介(トヨタ自動車)/白鳥勝浩(トヨタ自動車)組(今大会シード2)。2チーム目はその石島/白鳥組に勝ち星(2勝)をあげている唯一のペア、髙橋巧(ANAあきんど)/長谷川徳海(愛媛県競技力向上対策本部)組だ(同シード1)。

2019年から20215月まで両チームがそろって出場したツアーにおいて、必ずどちらかが、もしくは両チーム決勝進出を果たしてきた。ネット際での威圧感が増し、この4年間で細かいテクニックをモノにしてきた石島は、昨年から「心のコントロール」を課題にあげてきた。インドアバレーではオリンピック予選の経験はあるものの、ビーチ転向後、出場権がかかる大舞台は石島にとって初めて。彼のプレーのよしあしをフォローするのは、過去修羅場を乗り越えてきたパートナーの白鳥だろう。ベスト4が決まる初戦となる2回戦で、王者がどのような風格を漂わせ、プレーするのか注目である。

ツアーで好成績を残している石島/白鳥組


その王者に対してマイナビジャパンツアー2021シーズン開幕戦、互角の戦いを見せたが、途中棄権のため準優勝に終わった髙橋/長谷川組。髙橋はコロナ禍で試合がなくなった時間に「ワールドツアーの試合をたくさん見て、自分の見直しを図り、さらなる向上を目指した」と語った。年を重ねるにつれ、フィジカルの逞しさが際立っているブロッカー・長谷川とともに熟練味を増した精度の高いプレーで試合を支配していきたいところ。

ツアーで石島/白鳥組に唯一白星をあげている髙橋/長谷川組

1回戦に挑むのは、シード3の土屋宝士(恵比寿丸)/池田隼平(カブト)組、シード4の村上斉(ADI.G/清水啓補(NN/中部土木)組、シード5の庄司憲右(愛媛県競技力向上対策本部/湘南ベルマーレ)/倉坂正人(三菱オートリース)組、シード6の西村晃一(ITEC WINDS/柴田大助(ITEC WINDS)組の4チーム。第1日目にはトップ2の牙城を崩すペアが現れるのかが大きな見どころとなるだろう。

シード3の土屋/池田組。独特のプレッシャーのかかる試合で上位にどう立ち向かうかにも注目

先に行われた女子大会では、シード下位のチームが先に1試合を戦って勢いに乗ることができる優位性を見事に生かし、第1シードを破ったケースもあった。言わずもがな、ビーチバレーボールは環境によって大きく左右される競技。マイナビジャパンツアー第1戦準決勝で石島/白鳥組と対戦し敗れた倉坂は、「流れが変わりやすいという競技特性の中、いかに順応できるかがカギ。その部分では相手のほうが一枚上手だと実感した。次戦はチームワークで克服し、最善を尽くしたい」とリベンジを誓った。

今大会は、1度敗れても、敗者復活戦しだいで、最終日へ勝ち進めることも大きな特徴である。百戦練磨の試合巧者西村と爆発力を持つ柴田組、どんな試合でもバランスのいい攻守を発揮する土屋/池田組、コートの幅や奥行を使った型にはまらないプレースタイルを貫き通す村上/清水組ら、これまで苦汁を飲まされてきたチームは、オリンピック出場がかかるこの決戦で一矢報いたいところだろう。

トップ2がこれまでどおり激突するのか、それとも大舞台で下剋上は起きるのか。いよいよ決戦が幕を開ける。

 

全試合配信はこちらから▼

【YouTube】https://youtube.com/c/ChannelJVA【6月4日(金)配信ページ公開予定】