東京2020の切符を懸けた戦い 女子大会展望

東京2020の切符を懸けた戦い 女子大会展望

東京2020のビーチバレーボール競技に出場する開催国代表の座を争う「東京2020ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦」の女子立川立飛大会が5月22日(土)、23日(日)に東京都立川市・立飛特設会場で開催される。

6チームが出場し、まず第3シードから第6シードまでの4チームが22日(土)に1回戦を行う。勝利チームは第1・第2シードとの2回戦に進出。1、2回戦で敗れたチームは敗者復活戦へまわり、一度負けても準決勝進出の芽が残る変則ダブルエリミネーション方式が採用されている。

この戦いに向けて、近年まれに見る個性豊かなチームが揃った。当初は1年前に開催される予定だったが、東京2020が延期となったことで、当時ペアを組んだばかりだったチームにとって思わぬ時間ができた。日本バレーボール協会ビーチバレーボール強化委員長の川合庶氏も、「1年延びたことでその間、若手が力をつけてきた。特に女子は、どこのチームが勝つかわからない」と語る。

さらに今回の特設コートは、TACHIHI BEACHの砂を220トンほどドーム立川立飛に運んで造られた、公式戦史上初のインドアビーチバレーコートだ。天井や壁があり、風が吹かない環境は一つのポイントとなりそうだ。

混戦必至の6チームを見ていこう。リオデジャネイロオリンピック以降、日本の女王として君臨してきたのは、石井美樹(荒井商事/湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(オーイング)組だ。目標は「オリンピックでメダル獲得」。2021年4月にはおよそ1年ぶりの国際大会となった「FIVBワールドツアー4スターカンクン大会」に出場した。3大会すべて本戦プール戦を突破し17位タイと、上々な仕上がりを見せた。

日本の女王として君臨する石井/村上組

石井/村上組は帰国後、2週間の隔離生活を経て今大会に挑む。村上は「自信がある、ないというよりも、自分たちが7年間やってきたこと、乗り越えてきたことは他のチームには負けていないと思う。それが自分たちの強み」と意気込みを語る。

女王の対抗馬は、若手の台頭として成長著しい鈴木千代(クロス・ヘッド)/坂口由里香(大樹グループ)組と、坂口佳穗(マイナビ/KBSC)/村上礼華(ダイキアクシス)組だ。ともに若手同士のペアだが、2019年マイナビジャパンツアーファイナル大会の決勝に進出。この経験をきっかけに心技体ともにたくましく成長してきた。2チームともに石井/村上組に劣らないサーブ力を武器とし、女王の座を虎視眈々と狙っている。

成長著しい若手ペアの筆頭、鈴木/坂口(由)組

東京2020の開催が決まったとき、まだ大学生だったという坂口(由)は、「当時オリンピックの試合を観にいきたいなと思っていたが、今は自分が目指す立場までこられた。今大会はプレッシャーもあるけれど、萎縮せずに楽しんで試合ができれば、それが結果となってついてくると思う」と語った。

これら若手チームの勢いを「高さ」で食い止めたのが、5月初旬に開催されたマイナビジャパンツアー2021立川立飛大会で優勝した長谷川暁子(NTTコムウェア)/二見梓(東レエンジニアリング)組と、準優勝を飾った草野歩(パソナ)/橋本涼加(トヨタ自動車)組だ。

開幕戦においては、2016年から転向した2人のブロッカー、二見と橋本の高さは圧巻だった。ネット際で攻撃をしっかり封じ込め、ともに準決勝まで相手に主導権を握らせなかった。準優勝に終わったものの、新ペアとなって初めて決勝進出を果たした草野は、「大会までに特に新しく取り組むことはない。冬場から取り組んできたことの精度をさらに上げて、ツアー開幕戦で見つかった課題と向き合っていきたい」と話した。両チームの持ち味である「高さ」が今大会でも生きてくるのか、注目である。

最後に紹介するのは、4年ぶりにペアを再結成した西堀健実(トヨタ自動車)/溝江明香(トヨタ自動車)組だ。ロンドン、リオデジャネイロのオリンピック予選で夢破れた西堀と溝江は、今度こそオリンピック出場をかなえるため、ともに大一番に挑む覚悟を決めた。経験値、戦術の引き出しはどのチームよりも長けている。ツアー開幕戦の準決勝では、長谷川/二見組にフルセットで惜敗したが、「難しい場面でもずっと強化してきたサーブが機能したのは収穫だった」と西堀は手応えを感じている。溝江も「これまでの悔しい思いを決定戦で爆発させられるように挑みたい」と言葉に力を込めた。

4年ぶりにペアを再結成した西堀/溝江組

泣いても笑っても、ついに東京2020出場権争いの決着がつく。切符を手にするのはどのチームか。全試合の配信はこちらから。

https://www.tbs.co.jp/sports/beach-volleyball/midokoro.html