マイナビジャパンツアー2023がいよいよ開幕 今季の見どころは

マイナビジャパンツアー2023がいよいよ開幕 今季の見どころは

今年も国内最高峰ツアーがいよいよ4月からスタートする。「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2023」(以下、マイナビジャパンツアー)は昨年の7大会から3つ増え、10大会が9都道府県で開催される。砂上の熱い戦いが繰り広げられるマイナビジャパンツアーの、今季の見どころを紹介しよう。(マイナビジャパンツアーのスケジュールはこちら

 

若手からベテランまで群雄割拠の男子大会

なんと言っても最大の見どころは各大会で活躍が期待される選手たち。昨季マイナビジャパンツアー初優勝を遂げたのは黒川魁/福嶋晃介(ともにNTTコムウェア)組。30代の選手も多く活躍するマイナビジャパンツアーにおいて、黒川魁は28歳、福嶋は23歳。ブロックとサーブを武器に活躍する福島を、大きなケガを乗り越え地道にトレーニングを積んだ黒川魁がレシーブで支え、昨季ブレイクした。福嶋は黒川魁や平野将弘コーチに「伸び伸びとプレーさせてもらえた」と話しており、彼のよさを引き出してもらった様子。今季は他チームから警戒される中でどのように戦うのだろうか。

昨季マイナビジャパンツアー初優勝を飾った黒川魁/福嶋組

 

黒川魁の弟、黒川寛輝ディラン(しながわシティビーチバレーボールクラブ)は昨季まで石島雄介(トヨタ自動車)と組んでいたが、今季は古田史郎(DOTs)とペアリング。古田は2021年にインドアから転向し、昨季は髙橋巧(ANAあきんど)と第3戦 平塚大会ガラナ・アンタルチカ杯で、長谷川/倉坂組相手にフルセットで惜敗するなど存在感を発揮した。黒川寛輝ディランは昨季石島と5大会で入賞し、優勝も果たしている。両者ともにファイトを前面に押し出し、観る者を魅了してくれるはずだ。

今季古田と組む黒川寛輝ディラン

 

男子で昨季最も多く優勝したのは長谷川徳海/倉坂正人(ともにフリー)組で、7大会中ファイナル大阪大会含む3大会で優勝。相手との駆け引きと鍛え上げられたフィジカルで、ボールを真下にシャットするブロック番長こと長谷川のブロックと、サラリーマンを経験した異色の経歴を持つ倉坂の、各プレーをそつなくこなす総合力の高さで今季も活躍に期待がかかる。

昨季のマイナビジャパンツアーで3大会で優勝を飾った長谷川/倉坂組

 

また庄司憲右(ハウスコム)/池田隼平(カブト)組は、昨季優勝1回を含む3度の入賞を果たしており、今季も注目したい。庄司の強烈なスパイクや池田のブロックを武器に、相手が強くなるほど好ゲームを繰り広げる。昨季は優勝した試合もさることながら、第5戦 都城大会 第23回ビーチバレー霧島酒造オープンでの石島雄介/黒川寛輝ディラン組との決勝は、敗れたものの大いに観客を盛り上げ、印象に残る試合をつくり上げた。

男子は長谷川/倉坂組以外が制した4大会では、すべて違うチームが優勝しており、絶対王者は存在しない。ベテランを中堅、若手が突き上げる群雄割拠の状況だ。ここまでに挙げた選手以外にも、現在Vリーグに所属しインドアと二刀流ながら第5戦 都城大会 第23回ビーチバレー霧島酒造オープンで平良伸晃(ゲストハウスLapsi)とのチームで3位入賞を果たした渡辺周馬(東京グレートベアーズ)、コート上でビーチバレーボールの醍醐味を教えてくれる大ベテラン白鳥勝浩(カブト)はじめ、多くの見どころを持った選手たちが会場で待っている。

 

表彰台常連チームの活躍とそれを崩すチームの存在に注目の女子大会

続いて女子。昨季もっとも多く優勝したのは長谷川暁子(NTTコムウェア)/坂口由里香(トーヨーメタル)組。出場した4大会すべてで優勝を飾っており、今季も勢力図の中心はこのチームだろう。高い技術で安定感抜群のプレーを見せる坂口と、元々レシーバーだったが、現在のチームとなってからはジャンプ力を活かしブロッカーとしても存在感を発揮する長谷川。2人を止めるチームは現れるのだろうか。

 

出場した4大会すべてで優勝を果たした長谷川/坂口組。

 

長谷川/坂口組に続くのは橋本涼加(トヨタ自動車)/村上礼華(ダイキアクシス)組。昨季3大会で優勝を果たし、7大会すべてで表彰台に登った。橋本は女子随一の高さを誇るブロッカーとして相手の前に立ちはだかり、村上礼は鋭いジャンプサーブやカットショットで攻撃する。ペア結成から年々たくましさを増し3年目を迎えるチームが、今季どのような戦い方を見せるか。

3大会で優勝を飾った橋本/村上礼組はペア結成3年目のシーズンを迎える

 

西堀健実/山田紗也香(ともにトヨタ自動車)組が2年ぶりのチーム再結成。2021年シーズンには2度の3位入賞の実績を持つ。西堀は昨季、柴麻美(帝国データバンク)と組んで3度の準優勝を果たしている。ベテランの強みを活かす落ち着いたゲームメークとコントロールされたスパイクの光る西堀が、精度の高いトスや卓越したボディコントロールが武器で、大卒2年目のシーズンを迎える山田とどのような化学変化を起こすのか注目だ。

また松本恋/松本穏(ともにフリー)組の姉妹チームは今季も必見。昨季は3位が2回に、準優勝が1回。ともに165cmながらジャンプ力を活かしたスパイクやサーブを見せる松本恋と、高いバレーボールIQで相手の意表をつくプレーが持ち味の松本穏。昨季出場した大会ですべて優勝した長谷川/坂口組が唯一セットを落とした相手である。2021年シーズン以来の優勝を目指す。

女子は長谷川/坂口組、橋本/村上組を中心に優勝争いが繰り広げられるだろう。そのほかにも、東京2020オリンピックに出場し現在選手会長を務め、競技だけでなく普及活動にも力を注ぐ村上めぐみ(立飛ホールディングス)、昨年アクティオ杯(大学選手権)で準優勝を果たしてマイナビジャパンツアーにアクティオワイルドカードで出場、ツアー常連チーム相手に渡り合い、将来性を感じさせた菊地真結/衣笠乃愛(ともに明海大)組などにも期待が集まる。また昨季は世界選手権に出場し、海外ツアーを主戦場に活動した石井美樹(湘南ベルマーレ)/溝江明香(トヨタ自動車)組がマイナビジャパンツアーに出場する機会があれば必見だ。

 

アクティオワイルドカードで出場した菊地/衣笠組

 

どこかで勢力図争いに大きな変化が訪れるのか、それとも表彰台常連チームが今年も活躍するのか注目してほしい。

 

渋谷でビーチバレーボール? 海辺だけでなく街中で繰り広げられる熱い戦い

グランフロント大阪大会や名城公園tonarioで行われる名古屋大会のように、駅前のビル群の間や公園にビーチバレーボールコートが登場し、行き交う人も思わず足を止める街中でも開催されているマイナビジャパンツアー。今季はさらに第3戦渋谷大会の会場となる渋谷区立宮下公園(渋谷宮下パーク・東京都渋谷区)や横浜赤レンガ倉庫大会(神奈川県横浜市)など、初開催となる都市部での大会が増えた。

 

ビルの間にビーチバレーボールコートが登場するグランフロント大阪大会

 

渋谷宮下パークは2020年にオープンし、ボルダリングウォールやスケート場と併設されたサンドコートがマイナビジャパンツアーの会場になる。商業施設や飲食施設も多く、たくさんの若者が訪れる場所だけに注目度は高い。

横浜赤レンガ倉庫は1911年に国の保税倉庫として建設された歴史ある建物。現在は文化・商業施設として生まれ変わり、家族連れや観光客、カップルなど多くの人が訪れている。歴史ある横浜赤レンガ倉庫の前にビーチバレーボールコートが登場し、アスリートたちが躍動する光景は一見の価値ありだ。

都市部の開催は、今までビーチバレーボールを見たことがない人たちにも、その熱気に触れてもらうまたとないチャンス。魅力ある競技のおもしろさを通りすがりの人たちにも知ってもらいたい。また今季は有観客に加えて、声出し応援も解禁されるなど、以前のような観戦スタイルに戻っている。都市部だけでなく、目の前に海が広がるビーチでの観戦も格別な体験となるはずだ。

 

予選形式導入により、常連チームだけでなく新たなチームにもチャンス

また、今季はツアー常連チームだけでなく、新たなチームが名乗りを上げるチャンスが例年より多いことが考えられる。例えば、今季のマイナビジャパンツアーは予選形式を導入し、日本ビーチバレーボール連盟主催大会と予選会を併設することになった。実力さえあれば予選を勝ち上がり、国内最高峰ツアーの舞台に立つチャンスがこれまでよりも増えている。また、パリオリンピックに向けた予選も始まり、上位チームが国際大会に出場する機会が増える。そうなると新たな顔ぶれがマイナビジャパンツアーで活躍するチャンスも生まれるだろう。

ぜひ国内最高峰ツアーで、若い新たな力と、ツアーを支えている上位陣が互いに刺激し合って作りだす「物語」とビーチバレーボールの「今」を体感してもらいたい。

 

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