アジア競技大会出場内定チーム、決定。「JVAカップ 兼 アジア競技大会 日本代表チーム選考大会」最終日

アジア競技大会出場内定チーム、決定。
「JVAカップ 兼 アジア競技大会 日本代表チーム選考大会」最終日

4年に1度開催されるアジア競技大会の出場権利を争う「JVAカップ 兼 アジア競技大会 日本代表チーム選考大会」最終日が4月29日(日)、東京都大田区にある大森東水辺スポーツ広場ビーチバレー場で開催された。

朝からフラッグバナーが音を立ててはためくほどの風が吹き、めまぐるしく風向きが変わる中、男女準決勝、3位決定戦、決勝戦、合計8試合が行われた。
出場の内定を得られるのは、男女各2チーム。準決勝で勝利すれば、事実上、アジア競技大会への切符を得られるとあって、朝9時30分から白熱した戦いが繰り広げられた。

長谷川/二見vs西堀/草野

女子準決勝の一つ、二見梓(東レエンジニアリング株式会社)/長谷川暁子(NTTコムウェア株式会社) 対西堀健実(トヨタ自動車)/草野歩(株式会社パソナ)組。昨シーズン、女王の座を争ってきた2チーム、最後の最後までどちらかが勝つかわからないゲーム展開となった。

「今日は自分たちの一番の武器である攻撃力を活かすことができなかった」と長谷川が振り返ったように第1セットを取った二見/長谷川組だが(21-17)、2セット目は安定したつなぎから主導権を握った西堀/草野組に14-21とセットを奪取される。
第3セットは息のつまる攻防戦が繰り広げられるが、草野のスパイクがラインを割り、少し押され気味だった二見/長谷川見組が流れを引き寄せる。風の影響を受ける第2コートにおいて終盤、風下で得点を詰めた二見/長谷川組が15-13と勝負をつけた。

もう一方の準決勝は、石井美樹(湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(株式会社オーイング)組が鈴木悠佳子(湘南ベルマーレ)/坂口佳穂(マイナビ/KBSC)組を倒し、石井/村上組が決勝進出を決めた。
その後の決勝戦では、石井/村上組が長谷川/二見組に勝利。失セット0で今大会を終えて、優勝を飾った。


フルセットゲームを制した長谷川/二見組

ハイレベルな空中戦を展開

男子の準決勝、注目のカードとなったのは、上場雄也(松戸レガロ)/白鳥勝浩(トヨタ自動車)対石島雄介(トヨタ自動車)/高橋巧(了徳寺大学(教員))。白鳥と上場は2016年リオデジャネイロオリンピック予選以来、2年ぶりにペアを結成し、この準決勝に照準をしぼってきたという。

試合は序盤から経験値の高い2人と、目下成長中のブロッカー・石島が火花を散らす展開となった。上場が「石島はブラジル合宿を経て巧くなって帰ってきた。いい刺激を受けている」と言えば、石島も「今日の上場はいつもより10cm以上高く跳んでいたし、自分のブロック対策を意識していたと感じた」とコメント。

上場、石島のハイレベルな空中戦を軸にして、レシーバーの白鳥、高橋も次々にディグを成功させる。白鳥は、レシーバーとしてプレーするのは2年ぶりだったが、ブランクを感じさせないプレーを発揮。ブロックのタイミングと動きにぴたりと合わせて、まるで瞬間移動をイメージさせるディフェンス技術を見せつけた。
男子ならではの迫力あるプレーに会場は大いに沸いた。デュースにもつれ込む接戦となった 第1セットは最後に上場のサーブポイントが決まり、上場/白鳥組が23-21と制した。

第2セットも両者一歩も譲らない。上場/白鳥組がリードを奪っても、石島がブロックポイントを決め、必死に食らついていく。終盤、白鳥のストレートスパイクを石島がブロックフェイクで拾い、その後高橋も白鳥のストレート攻撃に対してディグを成功。ここで石島/高橋組が流れをつかみかけたが、終盤の高橋の攻撃ミスが響き、上場/白鳥組が21-19とストレートで決着をつけた。

もう一方の準決勝は、清水啓輔(社会福祉法人ひまわり福祉会)/長谷川徳海(愛媛県競技力向上対策本部)組が村上斉(株式会社ADI.G)/畑辺純希(ウィンコーポレーション)組をストレート(21-16,21-14)で退けて、内定の権利をつかみ取った。

その後の決勝戦では、上場/白鳥組がフルセットで清水/長谷川組を下し、優勝を決めた。


ベテランレシーバー・白鳥

成長を遂げている石島の期待値

準決勝で敗退した石島/高橋組は、村上/畑辺組に勝利し3位。アジア競技大会の内定権利はとることができなかったが、石島は「今大会は全体的に非常に高いパフォーマンスを発揮することができた」と、自らのプレーに及第点をつけた。
日本代表組としてブラジルで2ヵ月間、過ごしてきた石島と高橋。転向2シーズン目を迎えた石島とレシーバーの高橋のコンビネーションは、どのチームに対しても大崩れすることはなかった。

石島/高橋組の試合を見ていたあるコーチは、石島のプレーについて「世界に通用するブロックだと思う。朝日健太郎以上のブロッカーになるかもしれない」と述べた。

その魅力は、ブロックの幅と空中でのボディバランス。着地後、すぐに動けるアジリティの強さも大きな武器だろう。そんな石島の後ろで構えている高橋にもどこか余裕を感じる。
「試合中、石島さんの奇想天外な戦術の発想が機能している。自分が悪い時でも支えてくれるし、石島さんが悪い時は自分が支えるというバランスも整っていると思う」と、好発進の要因を述べた。

今後、さらなる進化が期待される未完の大器・石島。「勝負所で攻撃の押しが弱く、拾われてしまって点がとれず、2、3点行かれてしまったのが課題だった。まだまだ伸びしろがあると思うので、高橋と一緒にがんばっていきたい」と、意気込みを語った。


長谷川vs上場のネット際の攻防戦

アジア競技大会出場に向けて

今大会の結果を踏まえて、2018年8月19日からインドネシア・パレンバンで行われるアジア競技大会へ出場するチームが内定した。
男子の白鳥は、釜山、ドーハ、広州に続き4回目、長谷川(徳海)は広州、仁川に続き3回目、上場と村上が仁川大会に続き2回目の出場。また、清水、石井、二見、長谷川(暁子)は、パレンバン大会が初出場となる。

長谷川(徳海)は、「チーム結成1ヵ月で目標にしていた内定を得ることができて、ギリギリ合格に滑り込むことができた。アジアは中国、イランをはじめ、大型のチームが多い。今日の決勝戦のような戦いにならないようにしっかり準備していきたい」と抱負を語った。


石井は初出場、村上は2回目となるアジア競技大会

4年前の仁川大会では5位タイに終わった村上は、「初めて出場した時は、経験がなかったのでよくわからなかったけれど、今回はその経験を活かしたい。日本選手団として戦うので、他競技もあるし、調整の仕方も、いつもの国際大会とは違う。自分たちのペースを作っていくのが難しい中で、力を発揮できるようにしっかり考えながら調整していきたい」と課題をあげた。

一方、2002年釜山大会で史上初の金メダル、2010年ドーハ大会で銅メダルを獲得した実績を持つ白鳥は現役最多出場。「オリンピックの2年前に開催されるアジア競技大会の結果次第で、先が見えたり、見えてこなかったり、自分たち、日本チームの立ち位置を把握できる大会。だからこそ持っている力を出し切って、オリンピックにつなげていきたい」と語った。